2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌の発癌、浸潤、転移における芳香族炭化水素受容体発現の意義
Project/Area Number |
21890250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石田 勝 Keio University, 医学部, 助教 (80383876)
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Keywords | 腎細胞癌 / 芳香族炭化水素受容体 / 発癌 / 浸潤 |
Research Abstract |
腎細胞癌臨床検体120例(淡明型102例、乳頭型11例、嫌色素型7例)を用いて免疫組織化学染色を行い、臨床病理学的に検討を行った。AhRの発現は核染色をもって陽性とし、癌細胞の陽性率を判定した。また、陽性率が50%以上の症例をAhR高発現とした。喫煙歴は、1日1本以上かつ1年以上継続した喫煙習慣を有する症例を喫煙歴ありと判断し、診断時に禁煙をしていても過去に上記条件が該当する症例も喫煙歴ありとした。【結果】性別(p=0.008)、組織学的悪性度(p=0.02)、組織型(p=0.008)とAhRの過剰発現との相関が認められたが、病理学的病期、静脈浸潤との相関は認めなかった。喫煙歴を有する症例においては、AhRの発現は有意に高かった(p=0.01)。AhR低発現群における5年疾患特異的生存率は94.4%であったのに対し、AhR高発現群では59.9%と有意に低かった(p<0.01)。また、5年無病生存率はAhR低発現群では83.6%であったが、AhR高発現群では20.4%とこちらも有意に低かった(p<0.001)。多変量解析では、組織学的悪性度とAhRの高発現は疾患特異的生存を予測する独立した因子であった。喫煙は、疾患特異的生存の独立した予後因子ではなかった。【結論】今回の検討で、腎細胞癌においてAhRの高発現が確認された。また、AhRの高発現は疾患特異的生存を予測する独立した予後因子であった。腎細胞癌のリスクファクターである喫煙歴がある症例では、AhRの発現が有意に高く、喫煙によりAhRが活性化される可能性が示唆された。また、AhRが再発および生存の独立した予後因子であることから、活性化したAhRが癌の進行に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)