2009 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合分子の変異体での外有毛細胞の収縮能と歪耳音響放射の解離の機序
Project/Area Number |
21890251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
峯川 明 Juntendo University, 医学部, 助教 (40549284)
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Keywords | gjb2遺伝子 / 外有毛細胞 / 耳音響反射(DPOAE) / プレスチン / パッチクランプ |
Research Abstract |
我々の研究グループが作製したgjb2遺伝子の優性阻害効果を示すマウス変異体(R75Wトランスジェニックマウス)では、コルチ器の形成時期より成熟障害を認めていた。また2週齢において外有毛細胞の形態の異常が観察されたため、生後直後から2週齢までの蝸牛の発育過程でのコルチ器の超微細構造を、電子顕微的観察により解析し、外有毛細胞と支持細胞の微細構築の変化を捉えた。コルチトンネル、ヌエル腔、外有毛細胞を取り囲む空間の欠如と、支持細胞によって外有毛細胞が圧迫されていることが確認される一方で、外有毛細胞は細胞膜の直下に外側壁の構造もはっきり確認され、通常どおりに成長していることが確認された。外有毛細胞の細胞活性をマウスの歪成分耳音響放射(DPOAE)専用測定機器を開発して確認することができた。従来のマウスの耳音響放射(DPOAE)計測においてはヒトに使用する機器をそのまま使用しているが、ヒトとマウスでは外耳道径や可聴域に大きな違いがあるため、マウスに特化した計測装置を独自に開発し外有毛細胞の細胞活性を確認することができた。R75Wトランスジェニックマウスにおいては生後どの周波数においても歪耳音響放射(DPOAE)の反応が確認されなかった。また外有毛細胞の収縮蛋白であるプレスチンを免疫組織学的に検討し、R75Wトランスジェニックマウスおよびノントランスジェニックマウスの両方の外有毛細胞の外側壁にプレスチンの存在が認められた。また同時に、マウスの蝸牛から外有毛細胞を分離・単離してパッチクランプ法を用いて、その収縮能をin vitro下で検討しているが、電気的運動性にもR75Wトランスジェニックおよびノントランスジェニックマウスに成長変化の差は認められなかった。 以上の検討により、gjb2遺伝子によるコルチ器の支持細胞と外有毛細胞の変性過程と分子機序を解析でき、支持細胞の通常の成長が外有毛細胞の細胞機能に不可欠であることが確認された。
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