2009 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt非古典経路を阻害する新規骨代謝改善薬の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
21890261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
前田 和洋 Jikei University School of Medicine, 医学部, 助教 (50548849)
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Keywords | 破骨細胞 / Wntシグナル / 骨吸収 / 関節リウマチ |
Research Abstract |
Receptor tyrosine kinase orphan receptor 2(Ror2)は分子量135kDの受容体型チロシンキナーゼである。Ror2シグナルは、Wnt非古典経路を活性化するとされている。これまで、Ror2の役割は、四肢・心・大血管の発生に必要である事、がんの転移・浸潤を促進する事、および創傷治癒を促進する事が報告されている。しかし、Ror2の骨吸収調節機構は明らかでない。これまで我々は、破骨細胞(OC)分化におけるRor2の役割について以下の点を明らかにした。(1)Ror2のリガンドであるWnt5aは骨芽細胞に強く発現していた。(2)Wnt5aはRor2-Wnt非古典経路を介しRANKL誘導性のOC分化を促進した。今回我々は、OC前駆細胞においてRor2を欠損させたconditional knockoutマウス(cKO)を作出し、Ror2の骨吸収調節機構における役割を解析した。 RANK-eGFP-Cre knockinマウスとRor2 floxマウスを交配し、OC系譜におけるRor2シグナル欠失による表現型の解析を行った。8週齢の大腿骨を用いmCT解析を行った結果、cKOは野生型マウスと比較して著しい骨量の増加が観察された。OCのマーカーであるカテプシンK、カルシトニン受容体、TRAP5bの発現、および骨幹端部のOC数を比較すると、cKOでは顕著に減少していた。次に、OC前駆細胞のマーカーであるc-fms、RANKの発現を比較した結果、RANKの発現のみcKOで減少していた。 以上の結果より、破骨細胞前駆細胞に発現するRor2は、破骨細胞分化を促進する事が示された。Ror2のリガンドであるWnt5aは、関節リウマチ患者の滑膜に多く発現していると報告されている。このことから、関節リウマチにおける骨破壊に対する新規創薬の分子基盤となりうる可能性が示唆された。
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