2010 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt非古典経路を阻害する新規骨代謝改善薬の分子メカニズムの解明
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21890261
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
前田 和洋 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50548849)
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Keywords | 破骨細胞 / Wnt |
Research Abstract |
これまで我々は、骨芽細胞や滑膜細胞が産生するWnt5aが、破骨細胞前駆細胞に作用しRor2を介してWnt非古典経路を活性化し、破骨細胞分化を促進することを報告してきた。破骨細胞特異的Ror2欠損マウスの脛骨を用い、各種破骨細胞マーカーの発現を検討した結果、Wnt5a-Ror2経路はRANKの発現を促進する可能性が考えられた。本年度は、その分子メカニズムを明らかにすることを試みた。 RANK陽性細胞が、可視化できるマウス(RANK^<Cre/+> ; CAG floxed Neo EGFP)を作出し、Wnt非古典経路がRANKの発現を促進するかどうかをex vivoで検討し、次の結果を得た。 (1) RANK^<Cre/+> ; CAG floxed Neo EGFPの骨髄より破骨細胞前駆細胞を調製した。この細胞に、Wnt非古典経路を活性化させるWnt5aを添加する事で、EGFP陽性細胞が増えるかどうかを検討した。その結果、Wnt5a添加によってEGFP陽性細胞(RANK陽性細胞)は、増加した。以上より、破骨細胞前駆細胞において、Wnt非古典経路が活性化するとRANKの発現が増強することが明らかとなった。 (2) (1)の実験系に各種阻害剤を添加し、RANKの発現にどのシグナル経路が重要であるかを検討した。その結果、Wnt5aのRANK発現増強効果は、JNKの阻害剤で用量依存性に抑制された。以上より、Wnt5aのRANK発現増強効果は、JNKを介するということが明らかとなった。 以上の実験結果とこれまでに得られている我々の知見をまとめると、骨芽細胞や滑膜細胞が産生するWnt5aは、破骨細胞前駆細胞に作用し、Ror2-JNKを介してRANKの発現を制御し、破骨細胞分化を促進することが明らかとなった。
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