2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス脳におけるストレス応答性タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
21890263
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
梅村 真理子 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (30521489)
|
Keywords | ストレス応答 / 脳・神経 / マウス / 転写因子 |
Research Abstract |
ATF5はストレス負荷によりATF5 mRNA発現が誘導されるストレス応答性の転写因子である。近年、ATF5が神経細胞の増殖分化、アポトーシスに関与することが見いだされたが、その生理的機能については未だ不明である。そこで、ATF5の生体内における機能を明らかにするために、私達はATF5欠損マウスを作成した。ATF5欠損マウスは生後2日目までに7割が死に至り、その致死の原因として、脳神経疾患を示唆する予備的データを得た。以上のことから、ATF5欠損マウスの脳や神経発生を解析することにより、脳におけるATF5の機能を明らかにすることを目的とした。 胎生期において大脳皮質の脳室帯で生まれた神経細胞は、大脳皮質表層側へ移動し、最終的に6層構造を形成する。ATF5欠損マウスの神経細胞の移動を観察するために、胎生期のマウス脳にGFPを導入し、出生後2日目齢で大脳皮質の免疫組織化学的解析を行った。野生型マウスと比べて、ATF5欠損マウスやATF5の発現を抑制したマウスの大脳皮質において、新生神経細胞の移動は顕著に遅れてはいなかった。しかし、移動している神経細胞は、神経突起形成が異常であることが示された。さらに、yeast two hybrid法にて、ATF5と結合するタンパク質をスクリーニングしたところ、細胞増殖や転写活性を制御する因子がATF5と結合している可能性が示唆された。 一方、ATF5欠損マウスは雄マウス特有の縄張りを守るための攻撃性が低下し、社会性行動が低下していることが分かった。 これらのことからATF5は、大脳皮質の神経細胞の神経突起形成に関与している可能性があることが示唆された。今後はATF5欠損マウスにおいて、さらに詳細な免疫組織化学的解析や行動様式解析を行いたいと考えている。
|
Research Products
(4 results)