2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜細胞由来のニューロンと筋細胞を用いた脊髄損傷および筋変性疾患の細胞治療
Project/Area Number |
21890266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
富永 徳子 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 助教 (90546532)
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Keywords | 歯根膜 / 歯根膜由来筋細胞 / 歯根膜由来神経細胞 / 細胞移植 / 再生医療 / 幹細胞 / 筋ジストロフィー / 脊髄損傷 |
Research Abstract |
(目的)本研究は、ラット歯根膜由来細胞の初代培養から正常二倍体性を維持した筋細胞・神経細胞(ニューロン)を選択的に分離することができる新規培養技術の開発に成功した。歯根膜由来筋細胞は、デュシャンヌ型筋ジストロフィー疾患モデルマウスに、歯根膜由来ニューロンは脊髄損傷モデルマウスに移植し全身疾患の機能回復を試みる。また、この技術を基盤として、ヒト歯根膜に応用し、新たな細胞移植による再生医療技術を開発することを目的とする。 (本年度研究実績) 1.細胞移植による機能回復 本研究で得られた歯根膜由来筋細胞をデュシャンヌ型筋ジストロフィー疾患モデルマウスに、歯根膜由来ニューロンを脊髄損傷モデル動物に移植し、機能回復を試みる。計画では、CSAバリアント(Hspa9b遺伝子)を発現するBALB/cA-CSAコンジェニックマウスまたは、SD-Tg(CAG-EGFP)ラット歯根膜から、本研究で開発した新規培養技術を用いて得られた歯根膜由来筋細胞、ニューロンは、野生型から分離した細胞と異なる性質であった。そこで、野生型ラット歯根膜由来筋細胞、ニューロンにEGFP発現ベクターを遺伝子導入することで、移植後の細胞動態を観察しようと検討中である。 2.ヒト歯根膜細胞の分離方法の検討 ヒト歯根膜細胞の分離方法は、歯根中央部の歯根膜を剃刀で削りとり、トリプシン等による酵素処理後、解離した細胞を培養することが一般的である。しかし、酵素処理法によりヒト歯根膜細胞の分離をおこなったところ、筋細胞、ニューロンの細胞集団は初代培養時に確認されなかった。また、ラット歯根膜組織からも酵素処理により細胞の分離を行うと、本研究で得られた細胞集団とは明らかに特性が異なっていた。したがって、従来の酵素処理による細胞分離法では、筋細胞、ニューロンの分離は難しいと考えられた。そこで、ラット歯根膜から筋細胞、ニューロンを分離した培養環境をヒト歯根膜組織に応用することで細胞の分離を試みたところ、筋細胞、ニューロンの形態を呈する細胞集団を得ることに成功した。現在、分離された細胞の同定を行っている。
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Research Products
(4 results)