2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウスES細胞を用いた幹細胞の化学発癌メカニズムの解析
Project/Area Number |
21890279
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
岡本 誉士典 名城大学, 薬学部, 助教 (50512323)
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Keywords | ES細胞 / 発がん / 性ホルモン / 乳がん / 遺伝子損傷 / 幹細胞発がん / 酸化ストレス / DNA付加体 |
Research Abstract |
発がん物質の標的が幹細胞であることを示唆するいくつかの報告がある.本研究では,モデル幹細胞としてマウス胚性幹(mES)細胞を用いて化学物質による発がんあるいは分化撹乱作用を評価する実験系を構築することを目的とし,先ず,mES細胞のCyp1a1およびCyp1b1発現およびその誘導パターンについて検討した.これらについてマウス胎児性線維芽細胞(MEF)と比較し,分化/未分化状態における特徴的な酵素発現についても検討した.また,17β-エストラジオール(E2)の代謝活性化物質(2-OHE2および4-OHE2)による酸化的遺伝子損傷の誘導について測定した. mES細胞およびMEFは共にAhrを発現していた.各細胞の特徴として,Cyp1a1は両細胞間で同程度発現しているのに対し,Cyp1b1はMEFにおいてmES細胞よりも14倍高く発現していた.両細胞において代表的異物代謝酵素誘導剤3-メチルコラントレン(3-MC)処理によりCyp1a1およびCyp1b1発現が用量依存的に誘導され,特にCyp1a1はMEFにおいて顕著に誘導された.3-MC処理によって,未分化マーカーであるSox2の発現は全く変動しなかったことから,これらの異物代謝酵素の発現誘導は未分化状態に影響しないことが明らかとなった.現在までのところ,2-OHE2および4-OHE2処理によるmES細胞ゲノムDNAの明らかな酸化的遺伝子損傷は確認されていないが,上記の結果から,未分化状態の細胞では異物代謝が発達しておらず,化学物質に暴露した場合に蓄積しやすいことが示唆される.今後,異物排泄機構も含め,総合的に精査する必要がある.
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Research Products
(31 results)