2011 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症病者に特有の疲労に対する介入プログラムの開発
Project/Area Number |
21890284
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Research Institution | Senri Kinran University |
Principal Investigator |
森谷 利香 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (20549381)
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Keywords | 看護学 / 難病 / 疲労 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Multiple Sclerosis(MS)病者がProgressive Muscle Relaxation(PMR)を実施することによる疲労への影響を主観的・心理的側面、生理学的側面、生化学的側面から検証すること、および実施上の課題を明らかにすることである。2011年7~9月に、CDとパンフレットを用いて、16筋群をターゲットとしたPMRを実施した。1人につき2週間の介入を行い、PMRを確実に習得できるように、定期的に研究者が対象者と共に実施した。評価は、疲労を問うVSA、SF-8(QOL)、POMS(気分プロフィール検査)、唾液中分泌型Ig-A、唾液中コルチゾールを開始後1日目、7日目、14日目に測定した。また、毎回の実施前後に血圧、脈拍を測定した。そのほかに日誌を書いてもらい、記述を分析対象とした。 対象者は疲労を有するMS病者5名であり、そのうち4名が女性、平均年齢は43歳であった。対象者の重症度を0~10で示すEDSSは、4人が1~2、1人が7.5であり、疲労の他に運動機能障害や知覚異常を有していた。結果、全員が大きな問題なく実施できた。主観的疲労を示すVASは14日目に低下し、精神的QOL(MCS)は上昇していた。同時に、実施前後では脈拍が減少していた。また、日誌からは「疲労の改善」や「活動量の増加」を経験していた。よって、PMRによってMS病者は疲労が軽減するとともに、リラックス状態が得られていたと示唆された。一方で、ストレスに伴い上昇する唾液コルチゾールは7日目にピークを持ち、14日目に低下していたことは、実施当初は「症状の再認識」や「上手くできない感覚」の経験が強かったと推測された。さらに、身体的QOL(PCS)は上昇しなかったことも、これらに関連すると推考された。
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