2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経可塑性と損傷神経の再生におけるコンドロイチン硫酸の機能解析
Project/Area Number |
21890286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
宮田 真路 Kobe Pharmaceutical University, 薬学部, 特別契約研究員 (60533792)
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Keywords | 糖鎖生物学 / 神経可塑性 / 神経再生 / コンドロイチン硫酸 |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸(CS)は、中枢神経系の主要な細胞外マトリクス成分であり、神経可塑性や損傷神経の再生において、物理的障壁として機能すると考えられている。しかし、CSは正常な組織にも多量に存在していることから、すべてのCSが単なる障壁であるとは考えにくい。注目すべきことに、神経可塑性の臨界期、および、神経損傷時にはCSの硫酸化パターンが劇的に変化することが示されている。しかし、これまでの研究は、CS分解酵素を用い、すべてのCSを除去する実験系であり、特定のCS硫酸化コードの生物学的意義は不明であった。これらの問題点を克服するため、申請者は、CSの硫酸化コードを改変したモデルマウスを作成し、神経可塑性と損傷神経の再生時における、CS硫酸化コードの解読に取り組んだ。その結果、6-硫酸化CSを過剰発現する、C6ST-1トランスジェニック(TG)マウスにおいて、抑制性神経細胞周囲のペリニューロナルネット(PNN)の形成が低下することを見いだした。また、C6ST-1 TGマウスにおいては、抑制性神経細胞の成熟を促進するOtx2ホメオタンパク質の蓄積が低下していた。さらに、C6ST-1 TGマウスでは、視覚野の経験依存的可塑性に異常が見られた。野生型マウスでは、生後28日前後に可塑性のピークを迎え、成体では可塑性がほとんど見られない。しかし、C6ST-1 TGマウスでは、生後28日において、まだ可塑性が獲得されていないが、成体において強い可塑性を示した。つまり、CS硫酸化パターンによって、経験依存的可塑性の臨界期が厳密に調節されていることが明らかとなった。これらの成果は、CS硫酸化パターンを改変することによって、神経可塑性の回復に応用できる可能性を示唆している。
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Research Products
(3 results)