2010 Fiscal Year Annual Research Report
多光子顕微鏡法による破骨細胞の膜ダイナミクスと骨破壊機能の分子基盤の解明
Project/Area Number |
21890303
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日比 輝正 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (50554292)
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Keywords | 骨代謝 / 小胞輸送 / バイオイメージング / 多光子顕微鏡 / 蛍光蛋白質 |
Research Abstract |
本研究課題は、生体内の骨代謝に重要な骨破壊機能が破骨細胞内から骨表面への小胞輸送によって規定されていることに着目した研究である。本研究では、破骨細胞内の膜動態を蛍光蛋白質を用いた多重標識と多光子顕微鏡の組み合わせにより、破骨細胞の新規機能評価系を構築すると共に、この評価系を活用することによって骨破壊機能の分子基盤の解明を目指した。平成22年は、前年度に確立した破骨細胞培養系と遺伝子発現系を組み合わせ、実際に細胞内小胞の4次元イメージングを試みた。その結果、破骨細胞内の酸性小胞の動きをxy方向のみでなくz方向にも追跡することが可能となり、骨破壊機能を小胞輸送という新たな観点から評価できるようになった。また実験を進める中で、リン酸カルシウム薄膜上での培養では、プラスチックディッシュ上での培養に比べ、破骨細胞の分化状態及び形態が異なり、細胞内小胞の位置や動態も異なっていることが示唆された。また、膜融合関連蛋白質の一つであるVAMP-7と群青色蛍光蛋白質シリウスとの融合蛋白質を発現するプラスミドを導入することで、VAMP-7過剰発現破骨細胞を誘導した。この細胞では膜動態が異常になっている可能性があり、現在更に詳細な解析を進めている。本研究においては、骨破壊機能の分子基盤を完全に解明するには至らなかったものの、新規の研究手法を開発・提示することに成功し、骨代謝に寄与する可能性のある分子の候補を見出した。本研究成果は、今後の骨代謝研究において、既存の方法とは全く異なるアプローチを可能にし、骨代謝分子基盤の全貌の解明や骨代謝不全に対する治療薬開発への大きな一歩となった。
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Research Products
(1 results)