2010 Fiscal Year Annual Research Report
血液悪性腫瘍患者・医師間のコミュニケーションのあり方に関する研究
Project/Area Number |
21890316
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Research Institution | National Hospital Organization Nagoya Medical Center |
Principal Investigator |
齋藤 明子 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター, 臨床研究企画部・臨床疫学研究室, 室長 (70524536)
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Keywords | 血液悪性腫瘍 / 医師患者間コミュニケーション / 医療の質 / アウトカムズリサーチ |
Research Abstract |
癌告知など悪い情報の開示は、医師・患者の双方にとり大変な苦痛であり、予後情報をいかに共有するかは依然として未解決の重要な課題である。血液悪性腫瘍患者と医師間の病状及び予後に関する認識に相違が存在するのか、もし両者の認識に相違があるならその要因は何かという原因を追求すること、及びこの両者の相違がその後の患者の身体的・精神的状態にどの様な影響を及ぼすかを評価することは極めて重要な課題である。 患者・医師間の予後情報の認識に関する研究は、主に欧米の単施設・少数例の終末期固形癌患者を対象とした縦断的研究として行われてきており、国内には患者と医師の予後情報に対する嗜好などを測定する尺度が存在しなかった。本研究では、オーストラリアのDr-Butouらの研究グループが乳がん患者を対象として開発した調査票原本に、米国ダナファーバーがんセンターで行われた先行研究などを基にした調査項目を追加し、当該領域の調査を実現する為の尺度として、『患者・医師コミュニケーション調査票』を開発してきた。調査票開発に必要な計画書を作成し、施設の臨床研究審査委員会からの承認を得た後、調査票原本を翻訳した日本語版調査票を作成した。当該疾患領域の専門家や患者会への研究説明会・討議を行った後、妥当性検討のための調査を行った。76部の調査票を配布し、69名より回答が得られ(91%の回収率)、結果に基づく修正を加え、日本語版調査票の逆翻訳を実施し、原著作成者(Dr.Butou)へ調査票様式の確認を行った。患者・医師の両者が病状や予後に関する適切な情報共有を行う為に重要な知見を得る尺度として利用可能なツールの開発は国内初であり、極めて貴重な貢献となる。医師・患者(及び患者を取り巻く家族)の両者が満足できる質の高い医療の提供に大きく貢献する効果が期待できる。
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Research Products
(2 results)