2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規窒素ドープ炭素材料を活用した新興汚染物質の促進酸化処理技術の開発
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21F20044
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG BEI 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 新興汚染物質 / 炭素材 / バイオマス / グラフェン / 吸着処理 / 促進的酸化処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品などの新興汚染物質の多くが難分解性を示すため、従来の生物処理では十分に除去することができない。本研究では、新興汚染物質を効率的に分解可能な酸化処理技術を開発する。熱分解処理法などを活用してバイオマスから多孔質性のグラフェンを合成することで、低廉で資源制約のない炭素吸着剤を創出する。そして、実環境を想定した汚染物質の吸着除去試験を通して、新たな水処理技術を開発する。研究初年度は、低廉なバイオマスであるクラフトリグニン(木材加工産業における廃棄物)を材料とした多孔性炭素質材料の合成を行った。鉄系触媒存在下での熱分解や燃焼温度の最適化、強酸処理を行い、リグニン廃棄物より磁性グラフェン様炭素材など種々の多孔性炭素材を合成した。合成材料の物性特性には、電子顕微鏡やBET表面積分析などを用いた。また、新興汚染物質の代表として、ビスフェノールa(BPA)とデキサメタゾン(DEX)を選定し、合成された炭素材の処理性能を評価した結果、10分以内の迅速な吸着除去性能を確認できた。さらに、過硫酸塩(PMS)を添加することで、促進的酸化(AOP)処理を行った結果、炭素材はPMS系でラジカルの発生を活性化し、BPAとDEXの分解において触媒的機能を発揮することが確認された。汚染物質の除去効率と変換生成物を液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)により分析を行った。また、ここで使用した磁気特性を有する炭素材は、炭素材再生過程で磁気分離・回収が可能であることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究は種々炭素材の合成ならびに新興汚染物質除去(吸着除去、促進酸化処理)の予備試験を主目的としており、前述の通り今年度の研究目的は達成され、予定通りおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、合成された炭素材を活用した水処理試験を継続するとともに、処理システムの実用化へ向け、本研究で開発された環境配慮型の吸着・触媒酸化技術の環境経済アセスメントも行う。水処理試験では、ビスフェノールa(BPA)とデキサメタゾン(DEX)を継続的に使用するが、競合物質(競合イオンや自然由来有機物)が存在下における処理性能を、吸着試験や過硫酸塩(PMS)による促進酸化処理試験を通して評価する。さらに、合成された炭素材は高い導電性を有しており、電気フェントン反応において炭素カソード材として活用できる可能性があることから、電気フェントン反応系における炭素材の性能評価も実施する。以上の炭素材性能評価に加え、処理水質やコストについて、既存の水処理技術との比較等により、技術の実用化について検討する。
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