2021 Fiscal Year Annual Research Report
Giant magnetic response properties of double-perovskite type oxides based heterostructures
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21F20054
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大友 明 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (10344722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAHOO RAMCHANDRA 東京工業大学, 物質理工学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 遷移金属酸化物 / ダブルペロブスカイト型構造 / 磁性材料 / 交換バイアス / 人工超格子構造 / 薄膜電子材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,反強磁性相と強磁性相からなるダブルペロブスカイト型La2MnCoO6(LMCO)薄膜を作製し,バルク多結晶体で発現する巨大な磁気応答の一つである交換バイアスを薄膜構造で再現することを目的とした。交換バイアスは磁化曲線が磁場に対してシフトする現象であり,ハードディスクなどの磁気デバイスに欠かせない重要な磁気的効果である。多結晶体における巨大な交換バイアスの起源は,遷移金属サイトのアンチサイト欠陥やAサイト組成の分布によって生じた反強磁性ドメインの共存とされているが,実験的には十分に検証されていない。そこで,パルスレーザ堆積法を用いて異なるアンチサイト欠陥量を有するLMCO薄膜を作製し,アンチサイト欠陥量と交換バイアスとの関係を明らかにすることとした。高い結晶性を維持したまま異なるアンチサイト欠陥量を有するLMCO薄膜を作製することに成功した。放射光X線回折法を用いてアンチサイト欠陥量定量的に評価した。アンチサイト欠陥量が増えると飽和磁化が線形に減少することを見出した。また,磁気異方性モデルを用いて,キャントしたアンチサイトCoのスピンモーメントが交換バイアスとスピングラス的な挙動の起源に深く関わることを明らかにした。その根拠としてアンチサイト欠陥量が増えるとLMCO薄膜の単位格子の体積が増加する傾向を見出した。格子体積の増加によってアンチサイトCoの反強磁性スピンモーメントがキャントした結果,原子レベルの磁気揺らぎが生じ交換バイアスが発現したと考えられる。さらに,本系の交換バイアスは従来の長距離相互作用がもたらす交換バイアスとは異なり,原子レベルの短距離相互作用に由来することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した通りの計画を実施し,予想に近い結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は組成・構造を精緻に制御した積層構造の接合界面の磁気応答を系統的に調べることによって,多結晶体で発現する巨大磁気応答の制御因子を明らかにする。
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Research Products
(8 results)