2021 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanisms of chronic inflammation in ovarian stroma
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21F20094
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 昌之 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (20314742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ELHAMOULY MOUSTAFA 広島大学, 統合生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 卵巣 / 線維化 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢は,ヒトのみでなく家畜の雌雄の生殖能力を減退させる.本研究では,卵巣が加齢に伴って線維化するだけでなく間質細胞に脂肪顆粒が形成されることを見出した.さらに,フラックスアナライザーを用いたreal time代謝機能測定の結果から,この脂肪顆粒の蓄積が,間質細胞の代謝機能低下,特にミトコンドリアの機能低下に起因する老化細胞化であることも明らかとした。この老化細胞が炎症性サイトカインおよびケモカインを分泌する可能性も遺伝子発現解析から明らかとなった。その時,卵巣間質にはマクロファージが数多く検出されたことから,老化細胞がマクロファージを誘引し,マクロファージがTGFβを発現することで,間質の線維化が誘導されている可能性も示した。以上の結果から,卵巣の加齢に伴う機能低下,その後の線維化は,細胞老化が引き起こすマクロファージの異常な誘因による可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,マクロファージの浸潤が生じるか?そして,浸潤したマクロファージが卵巣機能を低下させるか?を解明する計画であったが,マクロファージの浸潤メカニズムの解明にまで至ることができた。この点は,研究計画を上回る成果である。一方,マクロファージの分化制御機構などの解析には至れなかったことから,総合的に判断して,順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣間質にマクロファージを誘引するサイトカイン・ケモカイン類,および卵巣間質でM1あるいはM2マクロファージへと分化させる因子を候補化する.候補化した因子について,免疫組織化学染色とEIA法により検出し,発現し,濃度上昇する因子について,中和抗体や抑制剤を用いて,卵巣間質の変化に及ぼす影響を検討する.マクロファージの集積と作用について逆説的な解析として,線維化した卵巣間質をGnRHアンタゴニスト連続投与や抗酸化因子の連続投与により脱線維化した時の各種マクロファージの変化について解析する.マクロファージにより誘引され,分化するヘルパーT細胞について,そのタイプをフローサイトメトリー法により解析し,加齢および肥満による繊維化におけるマクロファージを起点とする異常な免疫環境を解明する.
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