2021 Fiscal Year Annual Research Report
Breeding a rice line for cold stress escape that has ability to shift flowering by water management
Project/Area Number |
21F20404
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
犬飼 義明 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 教授 (20377790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WAINAINA CORNELIUS 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | イネ / 冷害回避 / 出穂期 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、アフリカではコメの消費量が著しく増加しており、その増産が求められている。しかしながら、東アフリカの高原地帯では、出穂時の低温障害により収量が低く抑えられている。これに関して申請者は 、栄養生長期に軽微な乾燥ストレスを与えることにより、出穂期が2週間以上遅延する染色体断片部分置換系統を見出すことに成功した。そこで本研究では、このような出資遅延に関わる新たな遺伝子座を同定し、冷温に耐えるのではなく、それを回避できるイネ系統の育成とその水管理栽培技術の確立を目指した。 本研究ではNested association mapping population (NAM) 集団を解析材料に用いた。通常は、注目形質に関わるQTLを同定する際、2品種間のF2やRecombinant inbred lines (RILs、組換え自殖系統群)を材料とした解析が主流である。しかし、親品種の遺伝的背景によっては目的のQTLを検出できない場合も少なくない。一方、近年の技術進歩によりDNA変異をゲノムワイドに調べることが容易になり、多くの品種を対象に注目形質QTLを検出することが可能になった。しかし、イネでは潜在的な集団構造の特徴により偽陽性等が生じやすく、その成功例は限られている。これに関して、この問題はNAM集団、即ち複数の既存品種と一つの共通親との交雑から得られた複数組み合わせのRILsを解析に用いることで回避できると期待される。そこで本研究では、7組合せのRILsからなるNAM集団(計約1000系統)を用い、圃場条件下にて異なる土壌水分環境下にて栽培し、次年度の解析に必要な出穂期データを取得した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Nested association mapping population (NAM)集団を解析材料に用いた。通常は、注目形質に関わるQTLを同定する際、2品種間のF2やRecombinant inbred lines (RILs、組換え自殖系統群)を材料とした解析が主流である。しかし、親品種の遺伝的背景によっては目的のQTLを検出できない場合も少なくない。一方、近年の技術進歩によりDNA変異をゲノムワイドに調べることが容易になり、多くの品種を対象に注目形質QTLを検出することが可能になった。しかし、イネでは潜在的な集団構造の特徴により偽陽性等が生じやすく、その成功例は限られている。これに関して、この問題はNAM集団、即ち複数の既存品種と一つの共通親との交雑から得られた複数組み合わせのRILsを解析に用いることで回避できると期待される。 そこで本研究では、7組合せのRILsからなるNAM集団(計約1000系統)を用い、圃場条件下にて異なる土壌水分環境下にて栽培し、次年度の解析に必要な出穂期データを取得した。その結果、系統間に大きな出穂期の差を認めており、次年度の解析に向けた準備は順調に整っているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、7組合せのRecombinant inbred lines (RILs、組換え自殖系統群)からなる、Nested association mapping population (NAM) 集団(計約1000系統)を用い、圃場条件下にて異なる土壌水分環境下にて栽培し、次年度の解析に必要な出穂期データを取得する。次に、このデータを用いてQTL解析を行うことにより、冷害回避を可能にするQTLの検出を試みる。加えて、これらが組み合わさることで得られる影響についても解析し、より大きく出穂期を変動できるか否かを検証する。その際、昨年度に異なる水環境下での生育時に最も大きく出穂期の変動を示したRILsを対象に、生育期間のどの時点での、またどの強度での乾燥ストレスにより最も出穂の変動効果が現れるかについても併せて評価する。最終的には、得られた結果を総合的に捉え、有用量的遺伝子座を効果的に組み合わせることにより、異なる水管理を通して出穂期を調節しうること、ならびに本手法により冷害回避を可能にする品種育成の可能性について考察する予定である。
|