2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Compact High-Performance Multi-Function Microwave Components
Project/Area Number |
21F20731
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
馬 哲旺 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40282909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WEN PIN 埼玉大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 無線通信 / マイクロ波回路 / 高性能 / 多機能 / 広帯域フィルタ / 電力分配器 / フィルタリングパワーディバイダ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の無線通信技術の急速な発展と応用に伴い、より小型軽量、高性能、多機能のマイクロ波回路が求められている。本研究ではフィルタやパワーデバイダ及びそれらの複合回路に関する研究を行い、回路の新規提案からその設計手法の構築まで完成させる。初年度では、主な研究成果は以下の通りである。 (1)無線通信の大容量・高速化に対応するための小型広帯域帯域通過フィルタを提案し、その設計を行った。三段結合線路および先端短絡と先端開放のスタブを用いた新しい小型構造を提案し、伝送線路と偶/奇モード理論に基づき、回路解析を行い、回路パラメータを算出した。提案・設計した帯域通過フィルタは中心周波数1.0 GHz、74%の比帯域幅、通過域内で7個の反射零点、阻止域内で6個の伝送零点を示し、急峻なスカート特性と優れたスプリアス特性を同時に達成できた。 (2)新しいマイクロストリップスタブ付きデュアルモード共振器(SL-DMR)を用いて、周波数選択機能と電力分配機能を併せ持つ平衡‐非平衡型フィルタリングパワーディバイダを提案した。従来のこの種の回路の入力側にある一様な伝送線路を結合線路に置き換え、阻止域において新たな伝送零点を生成させることができ、回路の周波数選択特性の改善に繋がった。伝送線路理論と偶/奇モード理論で回路解析を行い、設計用の公式を導出して、設計チャートも算出・作成した。SL-DMRの励振にパラレル結合線路を利用することにより、通過域幅の自由な設計が実現できた。通過域両側の近傍に3つの伝送零点を設け、回路の周波数選択性を著しく改善した。試作した平衡‐非平衡型フィルタリングパワーディバイダは、設計値と良好に一致した測定結果を示し、所望の周波数選択特性、出力線路間のアイソレイション特性、およびコモンモードサプレッション特性を実現した。 以上の研究成果は2つの著名な国際会議で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画を概ね完成し、研究成果を2つの国際会議で口頭発表した。
(1)三段結合線路及び先端短絡と先端開放のスタブを用いた新しい小型広帯域通過フィルタ(BPF)を提案し、その設計手法を確立して、優れた広帯域BPF特性を実現できた。
(2)新しい周波数選択機能と電力分配機能を併せ持つ平衡‐非平衡型マイクロストリップフィルタリングパワーディバイダを提案、設計し、試作回路の測定結果は設計値と良好に一致し、所望の周波数選択特性、アイソレイション特性、及びコモンモードサプレッション特性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
電磁干渉に優れたデファレンシャル広帯域帯域通過フィルタを提案し、その設計方法を開発する。提案構造は二つの三段伝送線路の間に四つのブランチラインを設置した構造で、奇モード(差分モード)と偶モード(コモンモード)で動作する場合、この回路はそれぞれ広帯域特性を持つ帯域通過フィルタと帯域阻止フィルタに等価するため、差分モード信号に対するフィルタリング機能とコモンモード信号に対するサプレッション機能を併せ持つ。さらに、四つのブランチラインのうち、1つを結合線路ブランチラインに改めることにより、通過域両側の近傍に伝送零点を設けることができ、回路の周波数選択性を著しく改善する。伝送線路理論と偶/奇モード理論を利用し、回路の特性関数を導出して、さらに最適化手法を用いた計算アルゴリズムを開発し、設計に必要な回路パラメータを効率よく精確に算出する。最後に電磁界シミュレータを用いて、誘電体基板上でマイクロストリップ構造のデファレンシャル広帯域帯域通過フィルタを設計し、所望の差分モード信号に対する周波数選択特性およびコモンモード信号に対するサプレッション特性を実現する。 また、これまでに提案した各種の新しい回路を取りまとめ、所望の特性を十分に得られなかった提案回路に対し、再度検討、設計および試作評価を行い、研究目標を達成させる。研究成果を取りまとめ、国際会議における成果発表、学会誌への投稿および特許申請を行い、最終研究報告書を完成する。
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