2021 Fiscal Year Annual Research Report
固体酸化物形燃料電池の構成材料の開発と電極反応解析
Project/Area Number |
21F20736
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 浩一 京都大学, 工学研究科, 名誉教授 (00168775)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG WENWEN 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 空気極 / プロトン伝導セラミック燃料電池 / 混合伝導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、プロトン伝導セラミック燃料電池のための空気極材料として、ペロブスカイト型酸化物Ba(Co,Ce,Zr,Y)O3-δ粉末を合成し、BサイトのCeおよびZrの割合が電気化学特性やその他の物性に与える影響を検討した。合成した粉末の結晶構造をX線回折により調べたところ、BサイトにCeとZrともに含むBa(Co,Ce,Zr,Y)O3-δ (BCCZY)において、Coリッチな立方晶ペロブスカイト相とCeリッチな菱面体晶ペロブスカイト相が確認された。Zrを含まないBa(Co,Ce,Y)O3-δ (BCCY)では、上記の2相に加えて、Coリッチな六方晶相の小さな回折ピークが認められた。Ceを含まないBa(Co,Zr,Y)O3-δ (BCZY)はCoリッチな立方晶相、Zrリッチな立方晶相、およびごく少量のCoリッチな六方晶相から構成された。ドープされたCeリッチおよびZrリッチペロブスカイト相が優れたプロトン伝導性を有するのに対し、ドープされたCoリッチペロブスカイト相は電子-酸化物イオン混合伝導性を示すことから、合成した材料はすべて電子-プロトン-酸化物イオン混合伝導性複合材料であると考えられる。 これらの材料を電極、Ba(Ce,Y)O3-δを電解質としたハーフセルについて、加湿合成空気中で分極抵抗を測定した。BCCZYの分極抵抗は、BCCYより小さく、BCZYよりは大きい値を示した。また、これらの材料を空気極とした燃料極支持型セルを作製し、発電性能を評価したところ、BCZYを電極とした際に良好な性能が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトン伝導セラミック燃料電池の空気極材料として期待される電子-プロトン-酸化物イオン混合伝導性材料を合成し、比較的高い性能を得ることができた。本材料は複数の相から構成され、主な荷電種が異なる相の複合体であることを明らかにした。また、この材料を空気極とした燃料極支持型セルを作製し、発電可能であることを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
Ba(Ce,Pr,Y)O3-δ (BCPY)は電子-プロトン-酸化物イオン混合伝導体であることが知られているが、BCPYの低い酸素還元活性が問題となっている。そこで、BCPYへ高活性触媒を含浸することで、その酸素還元活性の向上を試みる。含浸法は低コストで簡単なプロセスであり、それによる表面改変は高い活性と耐久性を備えた空気極の開発に対して効率的なアプローチである。そこで今年度は、BCPYへ添加する触媒材料として、これまでに酸化物イオン伝導体を電解質とした固体酸化物形燃料電池において酸素還元反応の促進が報告されている材料に着目する。これらの前駆体をBCPYに含浸することで複合空気極材料を作製、その酸素還元活性や物性の評価を実施する。
|