2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Development of Buddhist Cosmology in China: the Practice of Buddhist Cosmological I magery 5-13c.
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21F21002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉本 尚徳 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (30598298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YI DANYUN 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-07-28 – 2023-03-31
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Keywords | 世界図 / 須弥山図 / 法界仏像 / 仏教宇宙観 / 仏教美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
仏教宇宙観とは、世界の構造やその成立・壊滅を、仏教がどのように説明したか、ということである。中国において5世紀後期に、仏教宇宙観に説かれる世界の構造を造形化した最初の世界図が制作され、13世紀になると、種々異なる世界図を網羅的に収録する仏教宇宙誌がはじめて出現するようになった。 本研究は、5~13世紀の間に中国で成立した世界図全体を俯瞰的に捉えた上で、その制作を考察することにより、当時の人々が仏教宇宙観をどのように造形化したか、この複雑な観念体系の中国における実践的展開の基本動向を明らかにする。 2021年度は、まず5~10世紀、すなわち南北朝隋唐時代における須弥山図と法界仏像との関連性を明らかにすることを試みた。前者はインド仏教で宇宙の中心とされる山を造形化した図像であるが、後者は世界図を如来の体躯や袈裟に表した特異な仏像である。南北朝隋唐時代の法界仏像にみられる須弥山のモティーフを考察することによって、法界仏像の世界図の基本的構造は、同時期の既存の須弥山図に基づいたものであるという認識を獲得した。このような認識は、法界仏像の世界図のきわめて複雑な制作実態の解明につながる。また、6世紀後半頃、すなわち南北朝後期・隋時代に成立した法界仏像にみられる「正面むきの馬」というモティーフの文献的典拠の解明を試みた。このモティーフは、『観仏三昧海経』や『大智度論』によって解釈できる可能性があり、如来による身根の示現を示唆するものとみなす。こうした新しい解釈は、法界仏像の世界図に対する認識の深化につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究計画はおおむね順調に進行しており、とくに法界仏像にみられる世界図の制作実態の解明について、予想した以上の結果を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
中国古代宇宙観に関する資料を収集と分析し、資料収集、分析結果に基づいて学会発表を行う。 2021年度の研究計画では、世界図の調査のために中国の北京市、陝西省をはじめとする地域で現地調査を予定していたが、新型コロナの感染拡大の影響により実現できなかった。過去の現地調査で獲得したデータに基づいて世界図の分析と考察を行う。
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Research Products
(2 results)