2021 Fiscal Year Annual Research Report
Optically driven organic multi-valued logic circuits
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21F21052
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
若山 裕 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 副拠点長 (00354332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PANIGRAHI DEBDATTA 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 有機トランジスタ / 負性抵抗 / 多値演算 / 光照射 / フレキシブルエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に開発したアンチ・アンバイポーラートランジスタと言われる負性抵抗を示すトランジスタを基軸にした、新しい光エレクトロニクス素子の開発を目的としている。このトランジスタはチャネル中央部にpnヘテロ界面があるため、負性抵抗を示すことや光照射で内部起電力が発生するなど、従来にはない新しい特長を持つ。既に負性抵抗を利用した三値演算を実証しており、従来の二値演算に比べて演算機能を飛躍的に向上できることを示してきた。加えてpnヘテロ界面を有することから、光起電力が誘起されることが期待できる。実際にこれまでの予備実験から、光照射下では駆動電圧の低減に繋がる成果が得られつつある。しかも、三値の演算特性までも同時に改善できることまでわかってきた。具体的にはフルスイング出力、バランスの取れた3値インバーター出力、ノイズマージンの改善などに大きな成果が得られた。 これらの3値インバーターの動作をプラスチック基板上で実証できたことも、大きな業績と言える。特に構成材料と素子構造を最適化することにより、明確な3値演算動作と機械的な耐久性を兼ね備えた素子動作を実現した。これは有機エレクトロニクスが得意としてきた柔軟で軽量な電子素子の開発を推し進めるだけでなく、不得意とされてきた演算機能(あるいは集積機能)を克服することを意味する。特性や耐久性にまだ改善の余地があるが、柔らかさと計算能力を兼ね備えた画期的な素子開発の第一歩といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、素子構造と構成材料の最適化による3値演算素子の特性向上、光照射による特性制御、プラスチック基板上での動作実証など、多岐にわたって大幅な進展が見られた。まず構成材料の最適化では、分子レベルで急峻でかつ平坦なヘテロ界面を形成するp型およびn型有機半導体の組合せを選択したことと、これらの有機半導体は大気中で安定なだけでなく電荷の移動度もバランスが取れていること、ゲート絶縁膜に用いる絶縁性高分子材料で最適な材料を見いだせたことなどがその要因となっている。ゲート絶縁膜は電気的な絶縁性はもちろん、プラスチック基板との密着性やトランジスタチャネルとの界面において電気的に安定かつ不活性であることも求められる。その最適材料を見出せたことは本年度の進捗に大きく寄与している。もうひとつ進展を支えた要因として、素子構造の最適化を挙げることができる。具体的には、トランジスタのチャネルにおけるpnヘテロ界面の積層構造と電極との接合構造を最適化して、負性抵抗特性を改善できた。このヘテロ界面の積層構造は従来の負性抵抗トランジスタと異なるものの、実際に流れるドレイン電流特性を大幅に変調できるという特徴を持つ。これらの進展は当該特別研究員が自らの工夫と試行錯誤の中から実現できたものであり、本年度の進展に大きく貢献している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた成果をさらに発展させるために、メモリ効果を素子動作に取り込んでいくことを計画している。具体的には絶縁性高分子の中に電荷を蓄積できる分子材料を合成技術で付与した材料を、ゲート絶縁膜として活用することにより、フローティングゲートとしての機能を持たせる。つまりこれはフラッシュメモリの動作原理を、我々の負性抵抗トランジスタや3値演算素子の機能に融合させることを意味する。これにより期待される効果は、多値演算に記録媒体機能を付与することにより「多値Logic-in-Memory素子」という新機能性デバイスに発展できることにある。Logic-in-memoryとは演算機能とメモリ機能をひとつの素子で実現するデバイスであり、従来型のノイマン型素子で課題となっている集積度の限界打破、消費電力の低減、計算速度の向上などを解決できることが期待できる。特に3値の演算と3値のメモリを融合した素子を、しかも有機エレクトロニクス素子で実現しようとするものであり、現在の限界を大きく上回る画期的な素子となり得る。
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Research Products
(9 results)