2021 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on nitrous oxide metabolism in paddy soils driven by iron-reducing bacteria
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21F21091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40206652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XU ZHENXING 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄還元菌 / 一酸化二窒素生成 / DNRA反応 / Geomonas / Oryzomonas / 水田土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 鉄還元菌のDNRAプロセスにおけるN2O生成メカニズムの解明 まず、鉄還元菌Geomonasの分離菌株のゲノムアノテーションに基づいてDNRA反応の完全または部分経路を保有するGeomonas菌株を選び出して比較解析し、DNRA過程からのN2O生成を確定した。また、亜硝酸がN2O生成の直接の起源であることを明らかにした。次に、RNA-seqおよびRT-qPCRを行い、DNRAプロセスでN2O生産を駆動する機能遺伝子を探索した。その結果、Nar保有株では硝酸還元酵素(Nar)が鍵酵素であることが明らかとなった。このことは、NarGを欠失した大腸菌変異体のN2O生産量が減少していることからも確認された。NO阻害剤であるPTIOを用いた阻害試験を行った結果、NOが亜硝酸からのN2O生成の中間体であることが示され、また、遺伝子発現解析からNOのN2Oへの還元に細菌の解毒系が働いていることが明らかになった。これらのことから、DNRAプロセスにおけるNar誘導型N2O生成経路を提案した。 (2) DNRA反応の制御因子の解明 いくつかの環境因子がDNRAプロセスに及ぼす影響も明らかにした。C/N比とpHはDNRAプロセスに大きな影響を与え、C/N比が高いとアンモニウム生成量は増加するがN2O生成量と亜硝酸塩蓄積量は減少し、pHが低いとN2O生成量は著しく増加するがアンモニウム生成量は減少することが明らかとなった。温度は菌体量を直接変化させることでDNRAプロセスに影響を与え、アンモニウムの添加はDNRAプロセスに影響を与えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄還元菌GeomonasがDNRA反応の副産物としてN2Oを生成することを確定し、その新規なメカニズムを提案することができた。 また、鉄還元菌GeomonasのDNRA反応を制御する環境因子を明らかにし、水田土壌におけるアンモニア生成の制御についての重要な基礎知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの本研究で提案した鉄還元菌Geomonasにおける新規なN2O生成メカニズムを、分子生物学的解析ならびに安定同位体解析から証明する。 また、DNRAプロセスでの硝酸還元におけるN-O同位体分別について解析する。
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