2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドリド金属―有機構造体による水素貯蔵/二酸化炭素変換材料の創出
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21F21761
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀毛 悟史 京都大学, 高等研究院, 准教授 (70552652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LOMBARDO LORIS 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-07-28 – 2023-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 多孔性 / ヒドリド |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒドリド(H-)および二酸化炭素(CO2)を原料として用いた様々な多孔性材料の合成を試みた。レドックス不活性な金属イオン(Zn2+やMg2+など)および中性の配位子(ピリジル系、シアノ系)の配位子を種々組み合わせ、アミン溶液とともに溶液拡散合成・水熱合成・固相合成(メカニカルミリング)法を試すことにより、結晶/アモルファスの固体生成物を得た。特にCO2を原料とした例で構造解析や機能の面で進捗を得た。アルキルジアミン、あるいはピペラジンのように、CO2が2つ反応することによって架橋性配位子となるアミンを用い、特にZn2+との反応において多孔性の構造が得られることが分かった。構造の解析は放射光X線を用いたX線吸収による配位環境解析、X線全散乱による二体分布関数解析、固体核磁気共鳴を用いた配位子の構造や空間的配置の解析を行った。いずれの多孔性生成物においても、2つのCO2が金属イオンに配位した配位高分子構造であることが示された。また固体生成物を酸・塩基によって分解させ、溶液NMR測定を行うことで、配位子の定量や分解がないことを確認した。また、溶媒を用いない手法でCO2から多孔性構造を合成することを目的に、CO2雰囲気下におけるボールミル実験のシステムを構築した。1~5気圧のCO2を常温で導入し、上で利用したアルキルジアミンやピペラジンの共存下で固相反応を実施したところ、ほぼ定量的にCO2:ジアミン=2:1の生成物が得られることが分かった。つまり架橋性配位子を溶媒なしでCO2(1気圧、常温)で合成できることが示されたため、次は金属イオンを同時に導入することにより、ワンポット、溶媒なしの条件で多孔性配位高分子構造が得られるかどうかを実施する。またヒドリドについても同様の固相合成による構造体構築を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒドリド(H-)および二酸化炭素(CO2)という反応性の大きく異なる前駆体を用い、金属イオンと組み合わせることで様々な構造体を合成できることを確認できている。一部は多孔性を示すこと、また固相合成法が利用できることから、環境不可の小さい機能性材料の合成法として、研究目的の実現と広がりが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
固相合成法の活用により注力し、ヒドリド(H-)源である高い活性を示す金属塩、および化学的反応性に乏しい二酸化炭素(CO2)からの分子性構造体の合成における適応範囲をさらに探ってゆく。そしてそれぞれの反応条件を明らかとし、同時に得られる粉末試料の構造解析を各種分光を用い明らかにしてゆく。現在は多孔性構造の獲得を目的としているが、さらに伝導性構造や発光性構造など、得られる固体材料の機能発現の場を広げてゆく。
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