2021 Fiscal Year Annual Research Report
天然物由来の抗酸化剤を用いた黒りんのはく離によるナノシートの合成とその医療応用
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21F30063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小松 直樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (30253008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
REINA GIACOMO 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-07-28 – 2024-03-31
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Keywords | 黒りんナノドット / ポリグリセロール / 光温熱効果 / 炭化ホウ素ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験計画に従い、まず、黒りんナノドット(BPND)の作成を行った。その際、当初の実験計画に挙げた「腫瘍を担持したマウスの腫瘍成長の抑制効果」などの in vivo での実験を見据え、十分な親水性を担保するため、ポリグリセロール(PG)による化学修飾も同時に行うこととした。 具体的には、まず、市販の黒りん(BP)とグリシドール(PGモノマー)を混合し、超音波照射を行ったのち、水を加え、遠心機により上澄液を得た。この上澄液からさらに強い遠心により沈殿を落とし、これを水で洗浄した。このようにして得られたPG修飾されたBPND(BPND-PG)は、ラマンスペクトルにより構造を確認し、808 nm のレーザー光の照射下で、水温の上昇も確認したが、光から熱への変換効率はさほど高いものではなかった。したがって、BPND-PG を PG 修飾した炭化ホウ素ナノ粒子(B4C-PG)に代えて、光温熱効果を評価することとした。B4C-PGは、すでに当研究室でホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用のナノ製剤として、特許出願も終えている素材であり、BNCT と癌光温熱療法のバイモーダルなナノ製剤を意図して、実験を行った。その結果、BPND-PGを凌駕する非常に高い光温熱効果を観測するに至った。さらに、BNCTと組み合わせた担癌マウスの腫瘍増殖抑制効果を in vivo にて評価したところ、約1ヶ月後には、ほぼ腫瘍が消失するという、非常に高い癌治療効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BPNDに関しては、期待したほどの光熱変換効率を得る事はできなかったが、その代わりとして用いた炭化ホウ素ナノ粒子は、期待を上回る効率を示したことから、順調に研究が進展しているとした。炭化ホウ素ナノ粒子を用いた光温熱療法については、現在、論文をまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
炭化ホウ素ナノ粒子のサイズや結晶性などと光熱変換効率との相関を明らかにする。
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