2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Society and Culture of Modern Ainu from the Viewpoint of MONO Materials Including Documents, Shikki, Paintings and Pictures
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21H00565
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
浅倉 有子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 特任教授 (70167881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮腰 哲雄 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (00062018)
谷本 晃久 北海道大学, 文学研究院, 教授 (20306525)
菅原 慶郎 小樽商科大学, 商学部, 客員研究員 (30865449)
本多 貴之 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40409462)
三浦 泰之 北海道博物館, 研究部, 学芸主幹 (50300843)
松本 あづさ 藤女子大学, 文学部, 准教授 (90510107)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アイヌ / 漆器 / 蝦夷文化考古館 / 塗膜分析 / 余市町すいさん博物館 / 緑漆行器 / 科学分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の余波が未だに十分に収まらない中、研究代表者・分担者・協力者ともに、各自それぞれの調査・研究を可能な範囲で続行した。他方、ウクライナ戦争の影響で、ユジノサハリンスク市の郷土博物館における調査と研究交流は、断念せざるを得なかった。文献・絵画史料の調査としては、北海道立文書館を中心に、函館市立中央図書館等で実施した。特に北海道博物館における未公開の武岡家文書の調査は、特筆される。モノ資料調査としては、余市町すいさん博物館等において、所蔵漆器・出土漆器シートの調査を複数回実施し、その一部について塗膜分析を行った。同様に、帯広百年記念館で初めての漆器調査を実施し、特徴ある漆器複数点を確認した。中でも、溜塗に唐獅子牡丹の箔絵を施した丸行器と、山中漆器の可能性がある千筋文の丸鉢は、極めて稀な漆器である。さらに、幕別町蝦夷文化考古館所蔵の数十点の漆器については、研究協力者のYによって、塗膜分析が実施され、報告書が作成された。その調査の過程で、アイヌ伝世漆器では初めて緑漆(青漆)行器に吉野絵が施された丸行器の実在を確認した。これまで伝世品では確認されなかった理由は、緑漆が石黄に藍蝋を混ぜているため劣化(酸化)変質しやすく、紫外線や経年変化によって黒褐色や灰色がかってみえるためである。このような緑漆行器に関する追加調査の必要が生じたことを踏まえて、繰越申請を行った。しかし、追加調査によって、新ひだか町博物館に緑漆地の椀や天目台数点が所蔵されていることを確認したものの、行器は発見できなかった。また、完形であったために塗膜分析ができず、産地特定には至らなかった。さらに、石川県立歴史博物館・小樽市総合博物館において、公益財団法人アイヌ民族文化財団他主催の「令和4年度アイヌ工芸品展 アトゥィー海と奏でるアイヌ文化」展が開催され、研究分担者のSと研究協力者のSが企画委員を務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響はあったものの、繰越申請が認められたことにより、調査の進展が担保された。そのため、充実した調査・検討を継続することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるので、調査・分析を一層進捗・充実させ、研究の取りまとめを行う。年度末には、成果の論文集を刊行する予定である。
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