2021 Fiscal Year Annual Research Report
Archaeological Study of Han Jin Transformation
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21H00593
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (20183246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 佑介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (50452298)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 考古学 / 中国史学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)漢六朝青銅器の化学分析を実施し、単著「舶載された王莽宮廷鏡―大阪府紫金山古墳出土方格規矩四神鏡の鉛同位体比分析から」(『史林』第104巻第5号、2021年)、渡邊緩子・隅英彦・大平理紗・種定淳介と共著の「千石コレクション漢六朝青銅器の化学分析」(『東方学報』京都第96冊、2021年)を発表した。前者は4世紀の大阪府紫金山古墳から出土した方格規矩四神鏡は「丹陽」産の「善銅」を用いて尚方が制作した王莽の宮廷用品であることを銘文から考証し、鉛同位体比とICP分析をもとに、後者の分析成果を援用して王莽期の制作であることを検証した。さらに、この紫金山鏡や岐阜県美濃観音寺山古墳から出土した「王氏昭」方格規矩四神鏡は、王莽が演出した「東夷王」の朝貢にともなって下賜されたこと、京都府椿井大塚山古墳や静岡県松林山古墳から出土した大型の内行花紋鏡も同時期の制作であり、同じように王莽からの下賜品と考えられること、近畿式・三遠式銅鐸や広形銅矛など弥生後期の青銅器に用いられた「規格品の原料」は、このとき王莽から大量に下賜されたと推測されることを論じた。 (2)単著『東アジア古代の車社会史』(臨川書店、2019年)を出版した。殷後期に西から単轅の車馬がもたらされ、先秦時代にはもっぱら戦車として用いられたこと、官僚制の確立した秦漢帝国では、戦争に用いられていた車馬は騎馬に取って代わられたものの、舗装道路網が整備されたことにより馬1頭立ての双轅車が広範に用いられ、官僚たちのステイタスシンボルになったこと、しかし漢末の動乱によって道路のメンテナンスが滞り、馬車の走行に支障が出てきたこと、質素倹約を演出する清流派士大夫は華美な車馬を棄てて牛車に乗り換え、魏晋期には貴族の乗用する牛車が創作され、隋唐時代に継承されたこと、さらに9世紀には日本の平安貴族に受容されたことを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により予定していた海外調査ができなかったのは大きな誤算である。しかし、代わりとして実施した日本所蔵の中国漢六朝青銅器の化学分析が上述のように大きな成果をもたらし、相殺された結果として、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)海外調査の再開を期待しつつ、不可能な場合は兵庫県立考古博物館蔵千石コレクションなど日本に所蔵する漢六朝青銅器の化学分析を継続する。 (2)人文科学研究所における共同研究の中で研究課題の「漢晋変革の考古学的研究」を実施する。とくにオンラインの会議システムを活用して国際的な共同研究を進める。今年度は5月21日に中国社会科学院考古研究所の朱岩石先生と南京大学歴史学院の張学鋒先生をお招きしてICESシンポジウム「漢晋変革の考古学的研究」がすでに予定されている。
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Research Products
(3 results)