2022 Fiscal Year Annual Research Report
A general study on the oldest site of Jomon period and environment around the island of the Seto Inland Sea
Project/Area Number |
21H00595
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
村上 恭通 愛媛大学, アジア古代産業考古学研究センター, 教授 (40239504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國木田 大 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (00549561)
郭 新宇 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10322273)
福永 将大 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (50847093)
小畑 弘己 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (80274679)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 瀬戸内海島嶼部 / 縄文時代草創期末~早期初頭 / 宮ノ浦遺跡 / 縄文海進 / 海岸線復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
芸予諸島北部の愛媛県上島町佐島の宮ノ浦遺跡の発掘調査において、押型文土器前の拠糸文土器が発見され、西部瀬戸内島嶼部で最古の縄文土器であることがわかった。同時に、この土器の段階は瀬戸内海の形成前に当たる可能性が高い。本研究は宮ノ浦遺跡の発掘調査を通じて縄文海進以前の物質文化を解明し、同時に後氷期の当該地域における経時的地形変化や環境変化のなかに宮ノ浦遺跡を位置づけ、内海形成前の縄文文化研究を開拓すべく研究に着手した。 そして宮ノ浦遺跡の継続的な発掘調査の結果、この遺跡における縄文時代包含層の最下層には隆帯文土器、刺突文土器、無文土器が存在し、撚糸文土器よりも古い草創期末~早期初頭段階には縄文人が生活していたことが判明した。黄島式よりも古い押型文土器の年代は、香川県土庄町礼田﨑貝塚出土資料の炭素14年代から8200-7800 cal BCと判明しており、隆帯文や刺突文土器が1万年以前にさかのぼるという評価は許されるであろう。そうするとこの遺跡のにおける縄文時代最古期には現在の海底が陸地であったことが確実となった。ただしその当時の地貌は海進によって失われ、平坦化していることが改定値計測れょうに明らかとなった。またサウンディング法によるボーリング調査の結果、遺跡周辺が谷に囲まれた複雑な地形をしており、当時の占地の理由が理解できたのと同時に、海進時つまり早期押型文土器段階に占地できなかった理由も理解できるようになった。とくにこの繰越して実施した研究では縄文草創期末以降、宮ノ浦遺跡にのこされた各時代の景観を復元できた点は有意義である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
COVID-19により、宮ノ浦遺跡における発掘調査は規模の縮小化や遅延に見舞われたものの、最終的には狭い面積ながら縄文時代の包含層(Ⅳ-2層)を最下部まで調査でき、当初目的とした撚糸文土器よりも古い隆帯文土器、刺突文土器、無文土器の存在を明らかにできた。さらには上層の包含層(Ⅳ-1層)でも前期から後期の新たな土器群の存在も明らかにできた。また宮ノ浦湾の海底地形、宮ノ浦遺跡周辺の陸地側の旧地形も予想以上に明らかになったことが理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
旧地形復元の結果、縄文時代の生活域がこれまで発掘を実施してきた区域よりも南側、すなわち海側に存在することが想定できるようになった。この場所は生活道や現在の居住域に接近し、発掘調査の実施は困難であるが、この地域に接近した範囲で発掘調査が行われることによって、さらに多くの情報が得られる可能性がある。
|