2021 Fiscal Year Annual Research Report
Feasible measures to decrease VOCs in museum environments
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21H00624
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
木川 りか 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 課長 (40261119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 祐基 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 研究員 (20825583)
和泉田 絢子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, アソシエイトフェロー (20885149)
白井 克也 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 課長 (70300689)
川畑 憲子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 室長 (00463505)
川村 佳男 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 室長 (80419887)
桑原 有寿子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 研究員 (50784039)
藤井 義久 京都大学, 農学研究科, 教授 (10173402)
河野 一隆 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 部長 (10416555)
小泉 惠英 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 未登録, 副館長 (40205315)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 揮発性化学物質 / VOC / 展示環境 / 展示ケース / 空気環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、エアタイトケース内の揮発性有機化合物(VOCs)の濃度を減らすための検討を開始した。既存のケースにタイマー付きのファンで換気できる仕組みを導入し、効果を検証した。ひとつは、ケースをほとんど改変せずに、換気口のみを設置する方法、もうひとつは、ファンを新たに導入する方法である。各条件のケースについて、低濃度の酢酸やホルムアルデヒドを検出できる検知管と空気サンプリングポンプを用いて、数か月にわたってこまめに濃度測定を実施して検証をした結果、通常の運用のなかでケース内の空気環境を良好に保つ方法について、かなり具体的な方策がわかってきた。 また、文化財の保管箱としてよく使用される桐箱内の空気環境改善策についても検討を行った。新品の桐箱内でのVOCs濃度を測定し、新しい桐箱を温度処理する、あるいは空気に一定期間さらすなどして枯らしたのち、濃度変化を調査した。温度処理によって、桐箱内のVOCs濃度一時的にはかなりの程度減少することが観察されたが、継続的に低い放散量を実現するためには、どのような対策がよいか検討している。なお、桐箱の温度処理の結果については、学会で公表した。 さらに、ガス状の硫黄化合物や有機酸によって、腐食生成物が生じたブロンズ製金属遺物について、腐食生成物の詳細分析を行った。保管環境のVOCsがこのような金属製品に及ぼす影響と、腐食生成物の生成メカニズムについて検討し、腐食がおきない保管環境条件の実現方法について、この分析を通じて考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学芸部の研究分担者の全面的な協力のもと、実際の運用の中での検討を順調に進めることができた。また、木材の枯らしの方法についても、研究成果を中間報告として公表することができた。さらに、揮発性有機化合物が金属遺物などの腐食生成物を引き起こすメカニズムに迫る、基礎的研究も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、試行的に行ったケース内換気の方法とその検討結果をもとに、来年度はより有効な換気方法を検討し、汎用性のあるシステムとして使用できるようにしていきたい。また、揮発性有機化合物が放散されにくい材質を用いた展示台について、金属素材を中心に実用的な展示台を学芸部の展示担当者と緊密に連携をとりながら、プロトタイプを作る。さらに、合板が使用された既存ケースの改善方法(工法)について低VOCs放散材料への置き換えを中心に検討し、現実的かつ有効な仕様案をいくつか作成していければと考えている。
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Research Products
(1 results)