2021 Fiscal Year Annual Research Report
気象データと古文書の分析に基づく小笠原諸島 父島・母島の気候変動の復元
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21H00630
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松山 洋 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (50264586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋光 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 再雇用職員 (30355276)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気象データ / 古文書 / 小笠原諸島 / 父島 / 母島 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 父島における 19 世紀の気象データの解析 古文書中で気象観測が行なわれていた扇浦のデータおよび天候記録と,小笠原村役場建設水道課で観測している 1980 年以降の日降水量データ,別の文献に掲載されている 1975 年以降の旬降水量データ,および父島測候所(第二次世界大戦前)と父島気象観測所(戦後)の月降水量データを用いて,19 世紀以前の父島(父島測候所および父島気象観測所が位置する大村)の降水量を復元した.従来は,「戦前に比べて戦後は降水量が少なくなった」と言われていたが,19 世紀後半も降水量が少ない時代であったことが明らかになった.以上の解析結果を,日本気象学会誌 SOLA に投稿して,受理・公開された(Kanno and Matsuyama, 2021). 2.父島扇浦での総合気象観測の実施 古文書中で気象観測が行なわれていた扇浦のデータと,現在父島気象観測所がある大村のデータを接続するために,村有地(扇浦園地)の借地手続きを行ない,2022 年 2 月 14 日から総合気象観測(降水量,気温,気圧,湿度,風向・風速)を開始した.2021 年 7~8 月に研究代表者と分担者で父島を訪問して,観測実施場所を決めた.2022 年 2 月には,研究代表者,分担者と業者の方で父島を訪れ,測器を設置した.次回は,2022 年 7 月に,データの回収と測器のメンテナンスのために,研究分担者が父島を訪問する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)本年度中に気象観測測器を扇浦に設置して気象観測を開始できたため. (2)父島における 19 世紀の気象データ解析の結果を,日本気象学会誌 SOLA に公表できたため. (3)その他,公表済の論文・解説や,公表が決まっている論文・解説がいくつかあるため.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)扇浦における気象観測を継続し,父島気象観測所(大村)の観測結果と比較すること (2)母島沖村浄水場と父島扇浦浄水場の降水量データの解析 気象庁による父島(大村)のデータ(1968年以降),母島のデータ(2007年以降),母島の沖村浄水場の日降水量データ(1978年以降)と父島の扇浦浄水場の日降水量データ(1980年以降),および第2次世界大戦中(1942~1944年)の父島測候所と母島測候所のデータを用いて,以下の4点について明らかにする.なお,無償で一般に公開されているデータは,気象庁による父島(1968年以降)および母島(2007年以降)のデータだけである. (1) 1978年以降の父島と母島の年降水量,年降水日数,日平均降水強度についてどのような特徴がみられるか? (2) 1978年以降の母島の降水量に長期変化傾向や周期的変化がみられるか?また,母島の降水量の年々変動は父島のそれと連動しているか? (3) 1980年以降の父島気象観測所と扇浦浄水場の降水量には,どのような関係がみられるか? (4) (1)と(2)の特徴は,第2次世界大戦中(1942~1944年)にも共通してみられるか?
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