2022 Fiscal Year Annual Research Report
気象データと古文書の分析に基づく小笠原諸島 父島・母島の気候変動の復元
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21H00630
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松山 洋 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (50264586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋光 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 再雇用職員 (30355276)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 古文書 / 小笠原諸島 / 父島 / 母島 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 父島扇浦での総合気象観測の実施:古文書中で気象観測が行なわれていた扇浦のデータと,現在父島気象観測所がある大村のデータを接続するために,村有地(扇浦園地)の借地手続きを行ない,2022 年 2 月 14 日から総合気象観測(降水量,気温,気圧,湿度,風向・風速)を開始した。研究分担者が 2022 年 7 月,11 月,2023 年 2 月に父島を訪れ,データの回収と測器のメンテナンスを行なった。2022 年 2 月~2023 年 2 月の予察的な解析結果は,日本地理学会 2023 年春季学術大会で発表した。 2. 母島における降水特性の解析:母島における気象データで一般に利用可能なものは,2007 年 8 月以降の AMeDAS 母島の降水量だけである。研究代表者は小笠原村役場母島支所から,沖村浄水場における 1978 年以降の降水量データを提供してもらい,これと AMeDAS データを接続して,母島における降水特性を明らかにした。研究成果は地学雑誌に掲載された。 3. 渇水が植生に及ぼす影響に関する研究:小笠原諸島では,近年 2016~2017 年および 2018~2019 年に大規模な渇水が発生している。これらの渇水が植生に及ぼす影響について,リモートセンシングデータの解析により明らかにした。研究成果は地学雑誌に掲載された。 4. 母島 沖村浄水場における 1973~1977 年および 2018~2022 年の日降水量データの入手:母島 沖村浄水場における日降水量データは,小笠原村役場母島支所によって 1978 年以降のものがデジタル化されていたが,自記雨量計の記録は 1973 年以降のものがあることが分かっていた。そこで,2023 年 2 月に研究代表者が母島を訪れ,1973~1977 年の自記雨量計の記録をデジタル化して,この期間の日降水量データを作成した。この時,沖村浄水場における 2018~2022 年の日降水量データも,小笠原村役場母島支所から提供していただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)扇浦に設置した気象観測測器を用いて,順調に気象データが取得できているため。 (2)父島,母島におけるいくつかの研究成果を査読付きの論文として公表できたため。 (3)その他,公表済の論文・解説や,公表が決まっている論文・解説がいくつかあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)扇浦における気象観測を継続し,父島気象観測所(大村)の観測結果と比較する。その結果を踏まえて,1906 年以前の扇浦における気象観測記録を大村のそれと接続する。特に,降水量以外の気象要素について検討を行なう。 (2)母島沖村浄水場における 1973~1977 年および 2018~2022 年の日降水量データを解析し,すでに公表済みの 1978 年以降の解析結果と比較する。 (3)小笠原諸島における 2018~2019 年の大規模な渇水は,エルニーニョ現象発生中に起こった(エルニーニョ現象発生中は,日本付近が高気圧に覆われることが少なくなるので,渇水にはなりにくい)。この原因について,全球気象・海洋データを用いて明らかにする。
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Research Products
(8 results)