2022 Fiscal Year Annual Research Report
営業秘密の法的保護に関する知的財産法と刑事法の融合的検討
Project/Area Number |
21H00674
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
玉井 克哉 信州大学, 経法学部, 教授(特定雇用) (20163660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉開 多一 国士舘大学, 法学部, 教授 (00739972)
根津 洸希 新潟大学, 人文社会科学系, 助教 (00908329)
高野 慧太 中京大学, 法学部, 准教授 (40877122)
久保田 隆 帝京大学, 法学部, 助教 (50880994)
石田 咲子 福山平成大学, 福祉健康学部, 講師 (90801085)
山田 雄大 高岡法科大学, 法学部, 准教授 (90877086)
井形 彬 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (00839756)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 営業秘密 / 営業秘密侵害罪 / 不正競争防止法 / 秘密特許 / 経済安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、私企業の有する営業秘密の法的保護について、知的財産法および刑事法という2つの法領域の融合的検討を行い、わが国の営業秘密保護政策のあり方について提言を行うことを目的とする。具体的には、まず、営業秘密法に関して、営業秘密保護を諸外国と同程度にまで拡充するべく、制度の見直しを行う(【課題I】わが国の営業秘密法の抜本的検討)。次に、営業秘密法とは対照的に情報の公開を基本としてきた特許法に関して、現在わが国においても導入が議論されている秘密特許制度のあるべき姿を模索する(【課題II】わが国における秘密特許制度の導入に関する基礎的検討)。その際、以下の3つの研究チームに分かれ、それぞれに与えられたサブテーマに関して、同時並行的に研究を遂行する。 令和4年度および令和5年度(前年度からの継続課題)は、当初の研究計画および繰越時に変更を加えた研究計画にしたがい、それぞれのチームにおいて以下の調査・検討を実施した。その上で、研究会を開催し(令和4年9月、令和5年2月実施)、その成果を元にした意見交換を実施した。 【知的財産法チーム】サブテーマ(v)「わが国における秘密特許制度のあり方に関する検討」のうち、米国の秘密特許制度に関する文献調査およびその検討を行った。その成果として、玉井克哉=兼原信克〔編著〕『経済安全保障の深層』(日本経済新聞出版、2023年)などを発表した。 【刑事実体法チーム】サブテーマ(i)「2019年ドイツ営業秘密保護法の検討」および同(ii)「わが国の不正競争防止法における営業秘密侵害罪の再検討」に関する文献調査および検討を引き続き実施した。 【刑事手続法チーム】サブテーマ(iii)「わが国の営業秘密法における刑事制裁と民事的な権利行使との連動」に関する文献調査およびその検討を引き続き行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた現地調査の不実施等に伴う研究計画の変更はあったものの、令和5年度に継続して研究を遂行したことで一定の研究成果を発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き以下の3つの研究チームに分かれ、それぞれに与えられたサブテーマに関して、同時並行的に研究を遂行する。 【知的財産法チーム】サブテーマ(v)「わが国における秘密特許制度のあり方に関する検討」のうち、わが国の秘密特許制度のあり方に関する文献調査および検討を実施する。特に、日本に近時導入され、令和6年5月1日に施行される特許出願非公開制度に焦点を当て、これまでの比較法分析も踏まえながら研究・分析を進め、その成果を各々論文として発表する。 【刑事実体法チーム】サブテーマ(iv)「ドイツ刑法典における国家秘密漏洩罪の検討」のうち、ドイツ刑法の諜報活動罪に関する文献調査および検討を引き続き実施する。なかでも、処罰時期および法定刑の問題を中心に、日本の秘密保護法制との比較検討を行い、その成果を各々論文として発表する。 【刑事手続法チーム】サブテーマ(iii)「わが国の営業秘密法における刑事制裁と民事的な権利行使との連動」に関する文献調査および検討を継続実施する。とりわけ、営業秘密侵害罪に対する捜査活動としていかなる手法を取ることが望ましいかを諸外国との比較法を通じて検討し、その成果を各々論文として発表する。
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