2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H00705
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
関根 敏隆 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20894174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 武貴 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (10747223)
笛木 琢治 香川大学, 経済学部, 准教授 (20975403)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金融政策 / 財政政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、金融政策と財政政策の相互連関について、複数のアプローチから分析を行った。令和4年度までに得られた研究成果のうち主だったものを挙げると、第一に、実際にモデルから推計された金融政策と財政政策の政策スタンスをみると、過去、必ずしも望ましい組み合わせではなかったことが、日本経済のデフレ的な状況からの脱出を難しくしたことを明らかにした。第二に、非伝統的な金融政策の一環として行われた、中央銀行による国債買入は、家計の過剰貯蓄と相まって、国債利回りを大きく低下させ、財政赤字にも関わらず、政府債務が発散的に積み上がることを防いだことがわかった。これらの研究成果は、金融政策と財政政策は相互に影響しあうこと、そうしたこともあって、両政策の間でしっかりと政策スタンスの調和をとる必要があること(policy coordinationの重要性)、を示唆している。 なお、こうした研究を続ける傍らで、金融政策、財政政策の効果をより正確に測るため、GDP統計の精度検証、マーケット・エコノミストの趨勢的なインフレ予想の推計を行った。前者は、GDPを分配面からみると、公表されている系列よりも大きな値になること、後者は少なくとも一部のマーケット・エコノミストは、量的質的金融緩和が導入された後、趨勢的なインフレ予想を引き上げたことがわかった。これらは、既存の研究でみるよりも、金融政策、財政政策の効果は大きかったかもしれないことを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の研究成果は、令和4年度時点ではなおかなり暫定的なものであり、コンファレンス等での研究発表を通じて、よりしっかりした分析にする途上にあった。ただし、これは当初の想定の範囲内であり、概ね研究計画に沿った進捗との評価。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度も研究発表等を通じて、研究成果の精度を高める予定。
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