2021 Fiscal Year Annual Research Report
非がん性疼痛に対するインターネット支援型認知行動療法の開発と脳科学的機序の検討
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21H00953
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小杉 志都子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (00317249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若泉 謙太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00528862)
中川 敦夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (30338149)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / インターネット支援 / 脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次性慢性痛は中枢神経系の可塑的変化を伴うとされる難治性疼痛であり、一般に手術適応がなく、投薬や神経ブロックに反応しにくい。そのため、効果的な治療の開発により、国民全体の健康寿命の延伸が期待できる。認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)は、患者の歪んだ認知に働きかけ、行動変容を促す心理療法であり、中枢神経系を調整できる可能性がある。本研究の目的は、すでにうつや不安で有効性が示されているインターネット支援型CBT(iCBT)を慢性痛版に改良し、一次性慢性痛に対するiCBTの有効性を縦断的に示し、さらに脳画像解析を行うことで、iCBTによる疼痛の改善に、脳機能ネットワークの再構築が機序として関与していることを証明することである。一次性慢性痛患者40人を対象とし、iCBT (週1回、45分、全7回)の開始前と終了後(約3か月後)、および6・12か月後に、質問票を用いた多面的な症状(痛み、生活の障害度、認知・情動、睡眠など)の評価、反復熱刺激装置による残感覚検査、安静時機能的MRIによる脳画像検査を行うことを予定している。2021年度は、iCBTのセラピストの教育育成を行い、質の高いiCBTの提供を可能にしたことは大きな成果である。また、10名の被検者を登録し、治療前後の多面的症状評価、残感覚時間、および安静時機能的MRI画像のデータの取得を行った。2021年度の目標被検者登録数は達成できており、データ取得も滞りなく、計画通りに遂行されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はすでに倫理承認を得ている。 本研究で実施される慢性痛版のCBTは上記うつ病版のiCBTをもとに開発されており、コンテンツの作成は終了している。うつ病版同様、ウェブサイト上で提供される準備も整っている。また、うつ病版のiCBTの実施経験者およびセラピストの育成経験者も研究チームにおり、慢性痛版のiCBTを適切に実施する準備が整っている。痛み診療センターには看護師、公認心理師・臨床心理士、理学療法士などの多職種が診療に関わるシステムが構築されており、2021年度は担当するセラピストがiCBTを実施するトレーニングを受け、実施環境を整えた。質問票を用いた多面的な症状(痛み、生活の障害度、認知・情動、睡眠など)の評価のためのタブレット問診システムを作成し、すでに使用している。本研究は痛みのバイオマーカーとして、熱刺激装置を用いた残感覚測定装置および安静時機能的MRIを撮像する。2021年度は11月から本研究の被検者登録を開始し、すでに10人の参加登録が済んでいる。質問票を用いた多面的な症状の自記式評価、残感覚測定、および脳画像データの取得も滞りなく行われており、今後も順調に研究が遂行できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者施設の痛み診療センターに通院する痛み有症者は1週間あたり約150人で、目標被験者数の確保は十分に可能である。2021年11月から2022年3月までの期間で10人の研究参加登録が済んでおり、2022年度の12月までに40人の登録を終える予定である。可及的速やかな縦断的データ取得のために、iCBTセラピストの増員を図る。脳画像撮影には予防医療センターの3テスラのMRIを使用しており、2023年3月までにすべての被験者でCBTのセッションを終了する。データ入力および脳画像データの前処理は順次行い、データが揃った段階で、CBTの効果を統計学的に検討する。2023年に国内学会および国際学会で成果報告し、同時に国際的な英文学術雑誌へ投稿する論文を作成し始める。学術論文は2023年12月までに投稿し、2023年度内の受理を目指す。
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Research Products
(3 results)