2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H00963
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 雅史 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (20835128)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キンカチョウ / 模倣学習 / 文化伝達 / 歌 / 音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人の文明発展にも貢献したと考えられる文化伝達のプロセスを理解するため、ヒトと、ヒトのように自発的に音声の模倣学習を行う能力をもつキンカチョウという鳥を対象として、長期的に新奇な歌を伝達させる実験を始めた。本年度までの研究によって、成鳥のオスを対象に文化伝達実験を行い、対面での学習では映像よりも学習効率が高いことが明らかになった。特に社会的に隔離された幼少期のキンカチョウを用いた実験においては、典型的なキンカチョウの歌の音響的特性から離れた音楽のような電子音でも学習可能であり、この電子音の世代間伝達では、少なくとも3世代後まではキンカチョウの歌からは区別される一定の文化圏を形成できるという知見が得られた。これは隔離されたキンカチョウによる異常な歌が3世代程度で顕著に典型的なキンカチョウの歌へ類似していくこととは対照的であり、刺激の音響特性が文化進化に影響を与える可能性を示唆する重要な知見であった。また、ヒトの文化伝達の実験については、新奇な文化として開始ピッチと終了ピッチをランダムに調整した無調の歌を用いたところ、映像の有無、情動操作の有無、視線の有無によって、それぞれ伝達効率が調整される可能性が示唆された。本研究では研究室内で長期文化伝達を行うことによって、自文化への引き込みのような文化進化のみならず、一定の文化圏が形成され、その文化差が社会性に与えるといった複雑な文化と社会との相互作用をシミュレートできたため、今後、文化伝達のプロセスを調べるための方法論を確立できた点でも本研究は重要な意義を有すると考えられる。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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