2021 Fiscal Year Annual Research Report
Neural mechanisms underlying inequity aversion in non-human primates
Project/Area Number |
21H00966
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
則武 厚 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (80407684)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的情動 / 不公平嫌悪 / 霊長類 / 島皮質 / 内側前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、不公平課題行動実験パラダイム開発および、サル2頭に対して課題のトレーニングをおこなった。課題では、2頭のサルが視覚呈示装置であるモニタを同時に見ることができるよう配置されており、2頭の内1頭 (提案者) がまず自己と他者の報酬配分が異なる選択肢の内一つを選び、その後、もう1頭 (応答者) がその選択に対して受諾か拒否の選択をおこなう。応答者が受諾すれば、提案者が選択した報酬が各サルに配分された。しかし応答者が拒否すれば、どちらのサルも報酬は貰えないという結果となる。提案者と応答者の役割は数試行で交代し、不公平な報酬分配の選択肢の回避を互いがおこないあうという互恵性戦略が一つの適した戦略になるよう設定された。この課題において、不公平嫌悪様の行動選択を表出するサル個体を確認した。提案者が自分だけ報酬が得らえる選択肢と自分だけではなく応答者も報酬を少し得られる選択肢のうち、自分だけ得らえる選択肢を選んだ場合に、応答者は平均して25%ほど拒否を行った。応答者の拒否の前後では、不公平な選択を提案者がおこなう割合が減少した。また、ビデオ解析において、定性的ながら提案者が応答者にとって不公平な選択をおこなった場合、提案者の方に顔を向ける、視線を送るといった行動が認められた。これらの結果は開発した新しいパラダイムにおいても、不公平嫌悪様行動が認められたことを示す。さらに、並行して赤外線カメラによる身体と顔温度の2個体同時測定と脈波の同時測定、および神経活動の多点同時記録用システムの準備をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画で掲げた、不公平嫌悪課題の開発を順調に終え、サル2頭に対してトレーニングをおこない、不公平嫌悪様行動の表出個体を確認できた。また、内側前頭前野を含む多領域における神経活動の多点同時記録システムの準備、そして脈波や体温、顔温度の測定準備も滞りなく進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
可能であれば選択行動やビデオ解析による行動指標の定量化をだけではなく、顔温度や不公平嫌悪表情、脈波等の生理指標の測定も測定する。本年度確認された不公平嫌悪様の選択行動が確定し、不公平嫌悪に関する生理指標等を確認でき次第、当該サル個体の神経活動記録実験を開始する。神経活動は、まず内側前頭前野から記録を開始する。その後島皮質の同定を終えたのち、内側前頭前野および島皮質からの複数領域多点同時記録を開始する。また、確定した不公平嫌悪課題において、2ペア目のサルのトレーニングを開始する。
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Research Products
(2 results)