2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H01007
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
早田 智也 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 助教 (50762655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 喬吾 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (00787319)
小澤 知己 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (80825993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクティブマター / トポロジー / カイラル / 液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はアクティブマターと呼ばれる環境もしくは自己の持つ自由エネルギーを消費して自発的に駆動する粒子(エージェント)の集団において、集団を構成する粒子がもつミクロなカイラリティ(キラリティ)により発現するマクロな電荷、運動量、熱などの移動現象(カイラルな輸送現象)を統一的に記述する基礎理論、すなわち、アクティブカイラル輸送理論を構築することである。 この目的を達成するために理論と実験の双方から研究を行った。より具体的にはagent-based modelに基づく細胞間多体相互作用を記述するミクロな理論の数値シミュレーションおよび流体方程式に基づくマクロな理論のトポロジーを用いた解析と、神経幹細胞を用いた実験との定量的な比較を行い、実験で発現したカイラルな輸送現象のメカニズムを解明した。 実験で発見したカイラリティを持つ細胞を矩型領域に閉じ込めて培養すると端に局在した細胞流(カイラルエッジカレント)が安定的に流れる現象のミクロな機構を明らかにした。実験サイドは、細胞のカイラリティをコントロールしながら細胞流を測定する方法を開発し、カイラリティの強さ(特に符号)と細胞流の向きや局在性との間の関係を定量化した。理論側は、神経幹細胞のミクロなダイナミクスを定量的に再現するagent-based modelをカイラリティの効果を取り入れるように拡張し、その模型を数値的に調べることで、実験結果を定量的に再現できる模型を構築した。さらに得られたミクロな模型からカイラルエッジカレントの物理的な機構を明らかにした。また、ミクロな理論を粗視化して得られる流体方程式を用いて解析することで、カイラルエッジカレントのトポロジー的な側面を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに概ね順調に進展している。カイラルエッジカレントに関する論文の出版に苦戦し、最初の投稿からだいぶ時間が経ってしまったので、なるべく早く出版までこぎつけたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿うように、ミクロな理論の数値シミュレーション、アクティブ流体力学に基づくマクロな理論のトポロジーを用いた解析、神経幹細胞系を用いた生物物理実験の3者の間で互いにフィードバックしながら研究を進める。
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