2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H01025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土浦 宏紀 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30374961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 昌久 東京工業大学, 理学院, 准教授 (90335373)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キタエフ模型 / マヨラナ準粒子 / 超伝導量子計算素子 / トポロジカル論理ゲート |
Outline of Annual Research Achievements |
キタエフ模型には量子スピン型と1次元p波超伝導型の2種類が知られており,どちらもマヨラナ準粒子を伴う.本申請課題においては,これら二つのキタエフ模型を基にした,braidingを伴わない量子計算素子や,マヨラナ準粒子によるスピンまたは量子位相伝播を利用した論理ゲート等の理論的提案を行い,その特性やノイズ耐性の評価および,第一原理計算を援用した材料探索までを包含した,キタエフ模型の実用化に関する新たなアプローチを展開する. まず1次元p波キタエフ模型に関しては,この模型を平行に配置したワイヤー対を一つのユニットとみなし,さらにこのユニット間のジョセフソン接合素子を調べた.このとき,ユニット間の結合強度およびワイヤー対間の位相差を制御することにより,トポロジカルジョセフソン特性に始まり通常の0接合と呼ばれる特性,さらにはπ接合と呼ばれる特性が得られることが判明した.このようなジョセフソン効果の位相-電流特性を外的に制御できる系は,超伝導量子計算メモリ等への応用が期待される. 続いて,量子スピン型キタエフ模型に関しては,遍歴マヨラナ粒子による磁気励起伝播の応用可能性について調べた.磁気励起を伝播するデバイスにおいては,その流れのON/OFF制御が重要である.一方で,キタエフ模型における磁気励起を運ぶのは電気的に中世の遍歴マヨラナ粒子であり,外的な擾乱を受けにくい一方で制御が困難である.しかし,キタエフ模型に外部磁場を印加してマヨラナ粒子にエネルギーギャップを与えることにより,磁気励起伝播のON/OFFが可能であることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は,1次元p波超伝導型と2次元量子スピン型の二つのキタエフ模型をもとにした新奇デバイスの理論的に提案することである.1次元p波キタエフ模型については,この模型を対にした系に注目することで,超伝導量子計算素子への応用可能性が期待される特性を見出すことができた.また,量子スピン型のキタエフ模型についても,応用上最も重要である遍歴マヨラナ粒子流のON/OFF制御の鍵となる機構を提案することができた.これにより,平成3年度の研究計画で提示した主要な目標を全て達成しただけでなく,平成4年度以降の研究計画を円滑に進めるための基盤が確立できたと考える..
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Strategy for Future Research Activity |
1次元p波型キタエフ模型については,多様なジョセフソン電流特性が得られることが明らかになったことから,今後はこのような現象が生じる物理的機構を明らかにすることを主たる目的とする.そのために,アンドレーエフ束縛状態とジョセフソン電流との関係をrecursive Green関数法を用いて解析する予定である. 一方で量子スピン型キタエフ模型については,遍歴マヨラナ粒子流をON/OFF制御するための機構をさらに追求し,キタエフ模型で期待されるトポロジカル相の応用可能性等についても明らかにする.これにより,令和5年度(最終年度)におけるトポロジカル論理ゲート等の提案に関する学理基盤を構築する.
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Research Products
(10 results)