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2021 Fiscal Year Annual Research Report

Material synthesis with extremely high electric field on an electrochemical interface

Research Project

Project/Area Number 21H01038
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

上野 和紀  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10396509)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords新物質合成 / イオン液体 / 超伝導 / 薄膜 / 電気化学界面
Outline of Annual Research Achievements

本研究は新物質合成の新しい手法としての電解液と固体の電気化学界面に着目し、その場での新物質や新物性を開発しようとするものである。そのために、(1)計算科学の手法をもちいた物質の安定性のエネルギー的な評価、および電気化学界面の分子動力学法による安定性の評価(2)元素単体でできた二次元物質を用いた高性能なトランジスタの実現、(3)超伝導体を中心とする遷移金属化合物薄膜研究を行ってきた。
(1)の計算については、3d遷移金属のカルコゲナイトである層状構造をもつMTe2について網羅的に安定性の評価を行い、従来ほとんど合成された報告のない CoTe2, NiTe2 について、ほかの競合する構造(パイライトやマルカサイトなどの三次元構造)とほぼ同じ結合エネルギーを持ち、界面エネルギーを使って薄膜として合成すれば安定な物質合成が可能であることを見出し、後で述べるように実際に合成に成功した。一方、MnTe2,FeTe2などでは計算上も実験上も合成は不可能であった。
(2)についてはゲルマニウムの二次元層物質であるゲルマナン(GeH)について、従来から報告されていた電子側だけでなく、ホール側についても低温でゲルマニウム単体をはるかに上回る数千cm2/Vsの移動度を示すことを見出した。今後は極低温での二次元電子ガスの実現を目指していく。
(3) については強いスピン軌道相互作用が期待されるカルコゲナイト層状物質 CoTe2, NiTe2 の薄膜の合成に成功し、さらに格子定数を変化させることでバンド構造に歪を加え、フェルミエネルギーを変調させることに成功した。また、遷移金属酸化物 SrNbO3 極薄膜において電場なしでも強いラシュバ型スピン軌道相互作用を観測した。今後、こうした物質に強電界を加えることで新物性の実現を目指していく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

各項目について状況を記述する。
(1) 計算による研究については、計算で得られた物質の安定性に基づく薄膜設計が期待よりずっとうまくいき、また物性予測と実際の実験の結果がきれいに一致するなど研究が大きく進展した。一方、計画で予定していた界面の安定性の計算については現在使用しているQuantum Espresso パッケージでは成功しておらず、他のパッケージを使うなどの方策が必要である。ただし、現状ではトランジスタを作成するための界面の安定性は実験上では問題になっておらず、界面安定性の評価は今後必要なくなる可能性もある。
(2) 元素を用いた新物質開発についてはGeH で作成条件のわずかな揺れによって電子、ホール両方の物質が合成でき、ホール側で驚くほど大きな移動度が得られた。一方、トランジスタとしては動作するものの、期待していた極低温での二次元電子ガスの実現には至っていない。
(3) 新物質合成については5p 典型元素であるTe カルコゲナイドの合成に成功し、また4d 遷移金属酸化物 SrNbO3 で実際に大きなラシュバ型スピン軌道相互作用を観測した。なお、計画ではTeカルコゲナイドを合成するための電気炉の購入を申請したが、既存の電気炉を工夫することで要件を満たすことができ必要なくなったことと、スピン軌道相互作用の研究のために追加の液体ヘリウムが必要になったために、購入せず液体ヘリウムの費用に充当した。
このように1,2 の面では進捗があるものの計画とはずれた面もあり、(3)は非常にうまくいっている。したがって、当初の計画以上とまでは言えないにしても順調な進捗だと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

各項目について状況を記述する。
(1) 今回、Quantum Espresso でバンド計算を行ったうえで、その逆格子空間でのバンド分散をもとにBoltzTrapパッケージを用いてボルツマン輸送方程式に基づくホール抵抗、磁気抵抗の評価を行ったところ、実験と非常によく一致する結果がえられた。この手法を(2),(3)で実施しているさまざまな研究に広げていく。界面の安定性の計算については分子動力学計算の専門家に相談する、より計算能力の高い計算機を使う、別のパッケージを試すなどをして対策する。
(2) GeH では現在、低温での二次元電子ガスをどう作るかが問題である。比較的キャリア濃度の高い状態はトランジスタを用いて実現できるものの、50K から 30K くらいで急激に絶縁体化してしまうことから、電極の仕事関数やフェルミ面ピニングなどによって電極から半導体へのキャリア注入が低温で妨げられている可能性が高く、スパッタやドロップキャストなど別の電極作成手法により良好なデバイス作成を目指したい。
(3) スピン軌道相互作用が強い新物質が合成できたことから、これらの物質をベースにした電気二重層界面での超伝導の実現やトポロジカル物性の実現を目指す。

  • Research Products

    (9 results)

All 2022 2021

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (6 results)

  • [Journal Article] Transport properties around the metal-insulator transition for SrVO3 ultrathin films fabricated by electrochemical etching2022

    • Author(s)
      Okuma Hikaru、Katayama Yumiko、Otomo Keisuke、Ueno Kazunori
    • Journal Title

      Physical Review B

      Volume: 105 Pages: 045138-1~10

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.105.045138

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Strain modulated luminescence in (Ca,Sr)TiO3:Pr3+ perovskite thin films2022

    • Author(s)
      Katayama Yumiko、Ueno Kazunori
    • Journal Title

      Journal of Luminescence

      Volume: 241 Pages: 118492~118492

    • DOI

      10.1016/j.jlumin.2021.118492

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Metal-insulator transition in Ba3-xSrxNb5O152021

    • Author(s)
      Kondoh Yuhki、Takei Ryosuke、Okuda Tetsuji、Ueno Kazunori、Katayama Yumiko、Saiki Takuo、Sekino Wataru、Kajita Tomomasa、Katsufuji Takuro
    • Journal Title

      Physical Review B

      Volume: 104 Pages: 125128-1~8

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.104.125128

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 4d強相関ペロブスカイト酸化物SrNbO3極薄膜の磁気抵抗から得られた巨大ラシュバパラメーター2022

    • Author(s)
      大熊光, 片山裕美子, 上野和紀
    • Organizer
      日本物理学会
  • [Presentation] d-f結合系Ba3-xRxNb5O15 (R=希土類)の物性2022

    • Author(s)
      武井良介, 関野航, 岩本健汰, 片山裕美子, 上野和紀, 白崎巧, 桑原英樹, 勝藤拓郎
    • Organizer
      日本物理学会
  • [Presentation] MTe2(M=Co,Ni)のエピタキシャル薄膜の輸送特性測定2022

    • Author(s)
      濱本 杏果、片山 裕美子、小林 友輝、色摩 直樹、鍋島 冬樹、前田 京剛、上野 和紀
    • Organizer
      応用物理学会
  • [Presentation] Ba3-xEuxNb5O15における巨大磁気抵抗2021

    • Author(s)
      関野航, 岩本健汰, 武井良介, 伊藤聡見, 片山裕美子, 上野和紀, 勝藤拓郎
    • Organizer
      日本物理学会
  • [Presentation] 濱本 杏果、片山 裕美子、上野 和紀2021

    • Author(s)
      NiTe2のエピタキシャル薄膜の輸送特性
    • Organizer
      応用物理学会
  • [Presentation] SrNbO3極薄膜の金属絶縁体転移2021

    • Author(s)
      大熊 光、片山 裕美子、榊原 烈桜、濱本 杏果、門脇 福延、上野 和紀
    • Organizer
      応用物理学会

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Published: 2022-12-28  

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