2021 Fiscal Year Annual Research Report
粒子線照射したタングステンの水素添加による機械的特性変化の評価とメカニズム解明
Project/Area Number |
21H01068
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐藤 紘一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30378971)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠田 竜太 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20335227)
畠山 賢彦 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (30375109)
徐 ぎゅう 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (90273531)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 水素 / タングステン / 機械的特性 / 微小試験 / 粒子線照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水素添加によるタングステンの機械的特性変化のメカニズム解明を試みるとともに、原型炉ダイバータの設計に資するデータの取得を目指すことを目的とする。そのため、以下4点について調査する。 (1) 電子線照射したタングステンの機械的特性が固溶水素濃度(照射欠陥が捕獲する水素数の変化)に応じて変化することを示し、そのメカニズムを明らかにすること (2) 様々な条件でイオン照射と水素チャージを実施し、温度に勾配があるダイバータ内部の環境を幅広く模擬して、機械的特性変化を得ること (3) 表面硬さだけでなく様々な試験法(引張試験と圧縮試験)を用い、試験法によらず機械的特性変化の傾向が普遍的なものであることを示すこと (4) ダイバータの中で強度特性が水素によって最も変化する部分を特定すること (1)については、タングステンに対して電子線照射を行うことができたが、それ以外の硬さ試験などの実験を実施することができていない。(2)については、573Kでイオン照射した単結晶タングステンに水素チャージをすることで、硬くなる傾向が得られた。原子空孔集合体は塑性変形によって発生する転位の移動を阻害するが、水素を捕獲することによってより強くその移動を阻害したためであると考えられる。また、773Kと1023Kでのイオン照射も実施することができた。(3)についてはマイクロピラー圧縮試験を実施したが、イオンの加速エネルギーが低く、形成する照射層が浅すぎたため、良い結果を得ることができなかった。今後、加速エネルギーを検討する必要がある。また、マイクロ引張試験も行ったが、試験数が少ない状況である。今後、マイクロ引張試験の試験数の増加を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の(1)について、電子線照射したタングステンに対して硬さ試験を実施することができていない。(2)については、予定通りに実験を進めることができている。(3)については、イオンの加速エネルギーの検討とそれに伴う照射場の確保が必要となるため、今年度は試験を行えていないに等しい。微小引張試験も試験数を増やすことに苦労している。以上から、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述の(1)について、電子線照射したタングステンに対して硬さ試験を実施することができていないため、研究室の学生の力も借りて試験の実施件数を増やし、遅れを取り戻す。(2)については、予定通りに実験を進めることができているため、当初の計画通りに実験を進めていく予定である。(3)について、マイクロピラー圧縮試験を行うために必要なイオンの加速エネルギーを検討し、それに伴う照射場を確保し、実験を行うことができるように努力する。微小引張試験を行うことができる施設への訪問回数を増やし、試験数の増加にも努める。
|