2021 Fiscal Year Annual Research Report
Numerical analysis of atmospheric-pressure nonequilibrium plasma combined with hydrodynamic effects of gases and liquids
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21H01075
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
杤久保 文嘉 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (90244417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 雄介 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (80805391)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大気圧非平衡プラズマ / プラズマシミュレーション / プラズマ液体相互作用 / ガス温度計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気圧非平衡プラズマは高プラズマ密度であるが故に局在化しやすく,ジュール加熱がガス温度上昇を誘発する。また,イオン風による流れも生じる。即ち,流体力学的作用を包含してプラズマ構造,粒子輸送等を考える必要がある。本研究は液体を電極とした直流グロー放電で構成される気液界面プラズマを主な対象とし,気体と液体の流体力学的作用を連成した大気圧非平衡プラズマの数値解析を実現し,大気圧非平衡プラズマの理解の深化を目的とする。具体的な研究項目は,(1)プラズマ中の温度計測,(2)流体近似モデルによるプラズマ解析,(3)粒子モデルによるプラズマ解析,である。 項目(1)では,マッハツェンダー干渉計を用い,放電プラズマ中のガス密度変化に起因した干渉縞の位相変化から放電プラズマ中の局所ガス密度・温度分布を再構成する。高速フーリエ変換,逆アーベル変換等を用いたガス密度・温度分布の再構成法を作成した上で,大気中のノズル-球電極間に発生するアルゴン直流グロー放電に対して実験系を組み,ガス密度・温度分布の計測に成功した。陰極降下領域で高温となること,電流増加やガス流量減少に対してガス温度が上昇することなど,計測結果の妥当性を確認した。 項目(2)では,大気圧非平衡プラズマの流体近似解析と気体の流体解析を連成した数値解析を行なっている。これはプラズマによるガス加熱等の効果,その結果生じるガス温度・ガス密度分布等の相互作用を反映した解析である。現在,大気圧ヘリウムガス中でノズル-平板電極間に発生する直流グロー放電を対象とした解析を行なっており,陰極降下領域でのガス加熱とイオン風の発生,これに伴う渦の発生などを確認している。 項目(3)では,粒子モデルに熱伝導方程式を組み込んだプラズマ解析を行い,ガス加熱に伴う電子エネルギー,イオンエネルギーの変化を解明する。粒子モデルの基本フレームの作成を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
項目(1)については,当初の計画通りに進んでいる。 項目(2)については,当初計画では気体の流体力学的作用を考慮したプラズマ解析に加えて,液体の流体力学的作用を考慮したプラズマ解析まで進める予定であったが,この後段の部分には至っていない。これは,気体の流体力学的作用のコード作成において,安定解を得る対策に時間を要したためである。しかしながら,ノウハウを含めた知見を蓄積しており,この遅れは十分に取り戻せるものと考えている。 項目(3)については,当初の計画通りに進んでいる。しかしながら,研究を進める基本フレームを作成している段階であり,具体的な研究成果を得たものではない。 全般を通じて,項目(2)の一部を除けば計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
項目(1)のプラズマ中の温度計測に関し,液体電極を有する大気圧直流グロー放電を対象とした実験を行う。この場合,空気やアルゴンよりも屈折率の大きな水蒸気が混合するが,マッハツェンダー干渉計による計測では気体の屈折率変化を利用するため,ガス種の違いによる屈折率変化の影響を抑制するか,あるいは分離する必要がある。また,感温液晶カプセルを用いた液中の温度,及び,速度計測も実施し,気液界面プラズマ(液体電極を有する大気圧直流グロー放電)における気相,液相双方の流れと温度を可視化する。 項目(2)では,気体の流体力学的作用を考慮したプラズマ解析に加えて,液体の流体力学的作用を考慮したプラズマ解析を進める。即ち,気液界面プラズマ(液体電極を有する大気圧直流グロー放電)において,プラズマに誘起される液体の流れを再現し,熱的な作用を議論する。 項目(3)では,PIC/MCC法を用いた粒子コードに対して,熱伝導方程式を連成し,ガス加熱効果を包含した大気圧非平衡プラズマにおける界面(液面)への電子/イオンエネルギー分布を評価する。大気圧下ではガス加熱効果によって陰極降下領域のガス密度が減少するため,想定以上のエネルギーを有するイオンが生成される可能性がある。
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