2022 Fiscal Year Annual Research Report
超小型衛星による重力波源および突発天体の同定とブラックホール形成過程の研究
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21H01090
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40345608)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガンマ線バースト / 超小型衛星 / 重力波 / X線天文学 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
金沢大学衛星「こよう」の電気的総合試験、熱真空試験、および運用模擬を実施した。 [1] 電気的総合試験: 衛星全体としての電気試験を実施する。衛星分離から定常状態に移行するまでの状況を模擬した立ち上げ試験や、定常状態での長期試験、人為的にエラーを発生させた試験などを通じて、衛星機能およびミッション機器の機能検証と性能評価を行った。試験中の挙動を解析し、ソフトウェアのデバッグ作業を実施した。 [2] 熱真空試験: 軌道上で想定される温度環境を模擬した熱真空試験を行った。温度環境としてのHOTケースとCOLDケースにおいて、搭載機器の機能検証を行い、健全であることを確認した。特にミッション機器の温度環境が想定通りであることを確認し、所望の性能が得られることを検証した。 [3] 運用模擬: これまでに構築してきた運用地上設備を用いて、実際の運用を模擬した試験を行った。電気的総合試験や熱真空試験におけるデータ蓄積やリアルタイムでの解析など、運用を模擬した試験を実施することができた。 一方で、こよう衛星の打ち上げが2023年11月頃に延期となり、打ち上げロケットも変更されることから、JAXA等との協議の結果、振動試験は実施しなかった。ロケットとの機械的インターフェース条件を十分に確認した上で、2023年度に実施する方針とした。その分、データ解析ソフトウェアの開発を先行して進めるために研究員を1名雇用し、観測機器の地上キャリブレーションを反映させたデータ解析ツールを開発している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
金沢大学衛星「こよう」は、JAXAの革新的衛星技術実証プログラム3号機に選定され、イプシロンロケット6号機で打ち上げられる予定であったが、優先して打ち上げる必要のある衛星が出てきたことから、我々を含む3大学の無償相乗り衛星は別の機会での打ち上げとなった(このロケットは打ち上げ失敗となっている)。JAXAと打ち上げサービスを提供する企業、および3大学との間で調整を行い、現在は2023年11月頃に米国から打ち上げられる予定となっている。以上の経緯で、本来予定していた軌道上運用には達していない。打ち上げロケットの変更に伴い、機械環境条件が変更になることから、計画していた振動試験は実施せず、2023年度に実施する予定となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度半ばに振動試験、11月末に衛星打ち上げ、その後、軌道上運用の流れで研究を進める予定である。また、データ解析環境を構築し、観測開始直後から成果を公表できるように進めていく。 [1] 振動試験: 振動条件が変更となることから、構造数学モデルを用いた構造解析を改めて実施し、現在の設計で適合していることを確認する。不備がある場合は簡易的な改修を行うなどで対処する。打ち上げ実施担当の企業の設備にて、JAXAが定める打ち上げロケットのインターフェース条件に適合した振動試験および衝撃試験を実施する。 [2] 解析環境の構築: ミッション機器である広視野X線撮像検出器とガンマ線検出器のエネルギー応答関数を構築し、エネルギースペクトルを解析できるようにする。特に、いずれの観測装置も応答が天体の入射方向に依存することから、角度応答についても詳細化し、精度の髙い物理量を獲得できるようにする。 衛星の初期運用(立ち上げ)期間は、打ち上げ後1ヶ月未満を予定しているため、本研究期間内に科学観測を実施し、ガンマ線バーストの観測は行えるが、論文としての成果公表はやや遅れる可能性がある。
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