2021 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解能光検出器による究極の粒子識別装置の開発
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21H01091
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
松岡 広大 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (70623403)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粒子識別 / 高時間分解能 / GasPM / ガス増倍 / Photon feedback |
Outline of Annual Research Achievements |
新型粒子識別装置で用いるガス増倍型光検出器「GasPM (Gaseous PhotoMultiplier)」の動作を理解するため、名古屋大学に構築したテストベンチで、GasPM試作機(有感面積30×30mm^2)にピコ秒パルスレーザーを照射する試験を行った。ここでは、GasPMの光電面にLaB6、高抵抗板にテンパックス、光電子増倍用のガスにR134aとSF6を9:1で混ぜたガスを使用し、170μmのガスギャップに3.0kVを印加する条件で行った。 3.3×10^6のゲイン、25ピコ秒の1光子時間分解能が得られた。これは同程度の有感面積を持つ光検出器としては最も優れた時間分解能である。また、レーザー光によるGasPMの信号のタイミングから0.2nsほど遅れて出てくる信号の原因が、photon feedback(アバランシェ増幅中に生成される紫外線が光電面に当たって光電子が生成され、それが別のアバランシェ増幅を引き起こすこと)であると突き止め、GasPMの動作が完全に理解できた。なお、photon feedbackの発生確率は30%と推定された。これをいかに抑えるかが、GasPMを実用的な光検出器として活用する上での重要な課題の1つである。 この試験結果を元に、GasPMを応用した新型粒子識別装置の試作機を設計し、1台製作した。また、この試作機を宇宙線で試験するためのテストベンチをKEKに構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍における行動制限に加えて、社会情勢の大きな変化によりGasPMや新型粒子識別装置の部材調達が一部困難になったこともあり、GasPMの試験を予定通り進めることができなかった。 しかしながら、GasPMの動作を完全に理解することができた。ただし、photon feedbackの発生確率が大きいことは当初予期していなかったため、新たな課題が出てきたことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
ピコ秒パルスレーザーを用いたGasPMの性能評価を名古屋大学で続けながら、宇宙線を用いた新型粒子識別装置の性能評価をKEKで行う。レーザー試験を通して、GasPMのphoton feedback抑制に関する研究を進める。合わせて、時間分解能向上の試みも行う。一方、宇宙線試験を通して、新型粒子識別装置のMgF2窓の厚み、ギャップ幅やガス混合比の最適化をした後、電子ビームを用いて時間分解能の評価を行う。 また、Belle IIのモンテカルロ・シミュレーションにおいて、本粒子識別装置の導入によって期待される事象再構成効率の改善やバックグラウンドγ線の低減を詳細に見積もる。
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Research Products
(1 results)