2021 Fiscal Year Annual Research Report
次世代宇宙素粒子実験実現のための有機物中RI測定の超高感度化
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21H01105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市村 晃一 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 助教 (80600064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 綾 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00526254)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 極低放射能 / 放射線計測 / 微量元素分析 / 濃縮法 / ICP-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
世界最高感度でニュートリノの出ない二重ベータ崩壊探索を行っているKamLAND-Zen実験では検出器の高感度化を行い逆階層領域全てをカバーするKamLAND2-Zen実験を計画している。本研究ではこのKamLAND2-Zen実験で使用を計画している発光性フィルムや波長変換剤に含まれる極微量放射性不純物量の高感度測定を行い雑音事象の理解や低減を目的としている。 本年度は有機物中の極微量放射性不純物量の評価を可能にするために、ICP-MSを用いたウラントリウム量測定に関しては脱溶媒ネブライザシステムを導入し感度向上を図ったほか、KamLAND2-Zen実験で用いる有機物材料を灰化するためのマイクロ波灰化装置を導入した。環境からの汚染を低減するためのクリーン環境の整備も平行して行った。 これらの結果、発光性フィルムについては当初の計画通り数グラムの試料を灰化し、ICP-MSで測定するプロセスを確立し、含まれるウラントリウム量はKamLAND2-Zen実験で要求される数pptのレベルであることが分かった。 一方波長変換剤については要求値から数倍程度不純物量が多いことが判明し、純化手法を検討する必要があることが分かった。 ゲルマニウム検出器については環境からのガンマ線を遮蔽するシールド開閉機構を導入し高感度不純物量測定を可能にした。ゲルマニウム検出器を用いた波長変換剤の測定を行い、放射性不純物起源の有意なガンマ線は検出されず不純物量の上限値を得ることを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの関係で本研究を推進する研究員の雇用が遅れたものの、本年度の計画通りゲルマニウム検出器の高感度化を達成し、実際に波長変換剤のの測定も行えた。また、有機物のマイクロ波灰化装置を用いた乾式灰化と溶液化手順を確立し、実際に発光性フィルムや波長変換剤中ウラントリウム量のICP-MS測定も行うことが出来た。これらの結果からおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ICP-MSの測定に関しては、発光性フィルムの洗浄方法によるウラントリウム量の違いや、ウラントリウムを吸着するUTEVA樹脂を用いた化学分離による濃縮を併せた測定感度の高感度化を進める。また有意な放射性不純物量が確認された波長変換剤については液-液抽出法などによる純化を試みる。 Ge検出器での測定に関しては様々な波長変換剤ロットの測定によるロット依存性の調査や発光性フィルムの原材料の測定を行う。
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Research Products
(1 results)