2021 Fiscal Year Annual Research Report
固体標的を用いたニュートリノ質量測定のための基礎研究
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21H01112
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
原 秀明 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特別契約職員(助教) (70737311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 原子・分子物理 / 量子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
原子・分子の励起状態から光子を伴いニュートリノ対を発生する過程に対して、原子間コヒーレンスによって発生レートを増幅させることが研究の鍵となる。本研究には、高密度かつ低デコヒーレンスな標的を用いることが望ましいが、結晶にドープしたランタノイドイオンの4f電子に関係する遷移は、その標的候補となり得る。初年度はまず、ニュートリノ対放出時に発生する磁化を測定する可能性について検討した。この磁化測定は、弱い相互作用によるパリティの破れを利用したものであり、同時に増幅されるQED過程のバックグラウンドを排除することができる。標的に入射するレーザーの角度を変えた場合の磁化の分布が、ニュートリノ質量の値によって異なることが分かった。この結果は論文としてまとめ、出版した。その後、実際の結晶でのコヒーレンス実験に向けて検討を進めた。標的はエルビウムドープ結晶を考えているが、結晶中でコヒーレント増幅を実現するには、位相整合条件を満足させなければならない。実験は低温(4K)のクライオスタット中で行うので、4Kにおける結晶の屈折率が必要となるが、我々の知る限り、低温での屈折率の値は報告されていない。そこで現在、4Kでの屈折率測定に向けた準備実験を進めている。また、予備実験として行っていたYSO結晶にドープしたエルビウムイオンから発生する周期的超放射に関する考察や追加実験を進めた。これまでに、現象を定性的に説明するシンプルなモデルを構築し、励起レーザーパワー依存性の測定により、モデルの妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コヒーレント増幅実験の検討を進めた結果、位相整合条件のための低温での屈折率測定や、使用する準位間の電気双極子遷移と磁気双極子遷移の遷移強度の値が必要であることが分かり、追加実験が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
低温での屈折率測定に関しては、室温での測定後、低温に移行する予定である。また、遷移強度の見積もりに関しては、エルビウムドープ結晶の結晶場ハミルトニアンから各シュタルク準位の波動関数を求め、電気双極子遷移と磁気双極子遷移の遷移行列要素を求めることで、おおよその見積もりを行い、その後実験による実測へと進む予定である。さらに、基底状態4I15/2から4I2/13状態への励起用に波長1.5umのレーザー光源開発を行う。
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Research Products
(4 results)