2021 Fiscal Year Annual Research Report
惑星探査機搭載望遠鏡を用いた深宇宙における光赤外線天文学の創成
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21H01125
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐野 圭 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (70802908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 周二 関西学院大学, 理学部, 教授 (10321572)
岩田 隆浩 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (20201949)
和田 武彦 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50312202)
津村 耕司 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (60579960)
高橋 葵 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, アストロバイオロジーセンター, 特任研究員 (70851848)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 深宇宙探査機 / 望遠鏡 / 黄道光 / 宇宙背景放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙背景放射は、宇宙創成から現在までに放出された放射の積算であり、可視光から赤外線における宇宙背景放射の精密測定は天体形成史を包括的に明らかにするために重要である。今年度は、前景光である黄道光の影響なく、深宇宙からの宇宙背景放射観測を行うための観測装置の開発と、小惑星探査機はやぶさ2を利用した様々な日心距離からの黄道光観測の検討およびデータ解析を実施した。 望遠鏡の開発においては、昨年度までに3枚の自由曲面ミラーから成る反射光学系を設計し、アルミニウム合金A6061の切削加工により光学系を製作した。鏡面を研磨することによって、どの程度結像性能が改善するかを調査するために、2種類の材料A6061とRSA6061を用いて平面ミラー基板を製作し、様々な研磨時間で研磨を行い、その表面状態および結像性能を測定した。その結果、A6061製基板は研磨によって表面粗さが改善したが、RSA6061製基板の表面粗さよりも改善することはなかった。したがって、将来的に望遠鏡の実機製作においては、RSA6061を使用することが望ましいと考えられる。また、有限要素法によるシミュレーションを実施したところ、現状の光学系は重力によって歪みが生じることが予想されるため、光学試験における光学系の支持構造を工夫する必要があることが分かった。 はやぶさ2の観測装置を利用した黄道光観測においては、科学成果を得るために必要な観測頻度等を検討し、観測計画を決定した。また、昨年の試験観測で得られたデータを用いて、測光校正、迷光評価、点源除去などの解析手法を確立するとともに、様々な日心距離で得られた観測データの解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研磨用アルミニウム基板を使用し、研磨による結像性能の変化に関する評価を完了した。また、光学試験において望遠鏡に歪みが生じるという問題点を明確にすることができた。 はやぶさ2による黄道光観測から科学成果を得るために必要となる解析手法を確立し、実際に取得したデータの解析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はA6061製の望遠鏡に研磨処理を行うことにより、光学性能を改善して結像性能を調査する計画であった。しかし、A6061とRSA6061を材料とする研磨用基板の表面状態やその結像状態を調査したところ、A6061製基板は研磨してもRSA6061基板以上の性能にはならないことが判明した。そこで、将来的に製作する望遠鏡の実機はRSA6061で製作することとし、製作済みのA6061製望遠鏡は研磨処理をすることなく、結像性能の評価を継続するという計画に変更した。 はやぶさ2による黄道光観測は継続して行い、惑星間塵密度の日心距離依存性についての成果を査読有り論文誌に投稿する計画である。
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Research Products
(2 results)