2022 Fiscal Year Annual Research Report
清浄鉱物表面への水素原子の化学吸着と水素分子生成:低密度雲から分子雲への進化の鍵
Project/Area Number |
21H01143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽馬 哲也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20579172)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 星間塵 / ケイ酸塩鉱物 / 水素原子 / 水素分子 / 化学吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,星間塵を構成する鉱物として最も重要なフォルステライト(Mg2SiO4)の表面における水素原子(H)と水素分子(H2)の化学吸着(化学結合による強い吸着)の可能性を探る実験装置の開発を行うことを目的としている.本年度は,設計した装置の組み上げならびに性能試験を行った. まず,水素分子や重水素分子(D2)を真空チャンバーに導入するためのガス導入系を作製した.次に化学吸着を調べるために必要な昇温脱離質量分析法を行う際に使用する四重極質量分析計の立ち上げを行った.その後,フォルステライト試料を固定するための試料ホルダー(無酸素銅とサファイア製)を組み上げ,10 Kヘリウム冷凍機に接続した.そして試料ホルダーが接続された10 Kヘリウム冷凍機(冷凍能力5 W以上@10 K)を,ICF356サイズの真空チャンバーに組み込んだ.10 Kヘリウム冷凍機を運転させるためには,水冷式のヘリウム圧縮機(発熱量最大7.2 kW)を動作させる必要があるが,真空チャンバーを設置した部屋には水冷用の循環水設備が備わっていないため,冷却水循環装置(冷却能力8.7kW以上)を設置することで水冷式ヘリウム圧縮機を動作させた. 以上の作業を完了させたのち,真空チャンバーの真空排気試験を行ったところ,1週間の排気(ベーキング無し)で2×10^-7 Paの超高真空環境にまで到達したことを確認した.さらに10 Kヘリウム冷凍機を作動させたところ,試料ホルダーの末端部分(鉱物試料と接触する部分)は最低18 Kまで冷却されていることを確認し(測温はK熱電対で行った),本研究の目標である20 Kまでの冷却は無事に達成できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の組み上げは今のところ滞りなく進んでいるため.新型コロナウイルス感染症の影響で一部の物品の納入が遅くなっているが,2023年度以降に実験を行うにあたり大きな問題は生じていない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はフォルステライト試料の真空チャンバーへ導入し,加熱試験を行う予定である.フォルステライト試料を1000 K以上に加熱できるように,抵抗加熱用のタングステンワイヤーの直径や長さ,さらに電源の出力を調整し,フォルステライト試料を18 Kから1000 Kまで温度調節ができるようにする.装置の組み上げが完了した後は,水素分子の化学吸着実験を行う予定である.フォルステライト試料を1000 Kまで加熱し清浄化を行った後,任意の実験温度(最低18 K)まで冷却する.ある実験温度で水素分子を蒸着し,その後徐々にフォルステライト試料を加熱し,どの温度領域で水素分子の吸着・脱離がおこるかを昇温脱離質量分析法により調べる.
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[Journal Article] Chiral Ice Crystals in Space2022
Author(s)
Kouchi Akira、Shimonishi Takashi、Yamazaki Tomoya、Tsuge Masashi、Nakatani Naoki、Furuya Kenji、Niinomi Hiromasa、Oba Yasuhiro、Hama Tetsuya、Katsuno Hiroyasu、Watanabe Naoki、Kimura Yuki
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Journal Title
Chirality - New Insights
Volume: -
Pages: 20pp
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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