2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of a conceptual model for the structure and development process of cumulonimbus clouds by high-frequency 3-dimensional cloud, precipitation, and lightning observations
Project/Area Number |
21H01162
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
大東 忠保 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主幹研究員 (80464155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前坂 剛 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (70450260)
出世 ゆかり 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (80415851)
櫻井 南海子 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (30435846)
加藤 亮平 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (70811868)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 積乱雲 / 雲レーダー / 雷 / 雲・降水同化 / ゾンデ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、激しい降水をもたらす気象現象の基本単位として認識される積乱雲の構造と発生、発達、衰退の過程を明らかにすることである。このために、これまでよりも高い時空間分解能の観測を実施するとともに、雲レーダー等積乱雲の発生早期の状態の同化とシミュレーションによる再現実験を実施する。この研究は、数多く発生する積雲の中から、選択的に激しい降水をもたらす積乱雲が発生するメカニズムの解明と、その直前予測に寄与する。 1年目である2021年度は、既設のリモートセンシング観測機器による観測を開始した。雲レーダーは故障が相次ぎ1台か、最大でも2台同時稼働にとどまった。タイムラプスカメラを用いた雲の外形の観測では、30秒おきの観測に加えて10秒おきの撮影を行い比較を行った。10秒おきの観測からは30秒おきの観測と比較して、積乱雲の雲頂部の発達や、積乱雲の微細構造であるタレットの発達と衰退の過程の解明に有効であることがわかった。また、雷放電路観測装置LMA(Lightning Mapping Array)センサーを用いた雷放電路観測は継続してデータを取得した。 この他、次年度はゾンデ観測も付加した集中観測を計画しているため、ゾンデ観測に関する機材調達等を実施し観測の準備を行った。都市部に近い場所でのゾンデ観測を計画するため、ゾンデ落下位置の予測の検討を行った。また、フェーズドアレイレーダーや多くのレーダーの観測から得られる大容量のデータをアーカイブし、また解析をスムーズに行うため大容量データストレージを整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目となる2021年度は、ゾンデ以外の雲レーダーをはじめとするリモートセンシング機器については既に観測可能な状態であったため観測を実施しデータを取得した。ただし、雲レーダーや偏波降水レーダーに故障が相次いだため、積乱雲が発生しやすい夏季においては限定的なデータ収集となった点は予想外であった。故障した機器は順次、故障箇所の特定と修理を進め、次年度の観測では十分なデータを取得できる目処がたっている。 一方、次年度のゾンデ集中観測のための消耗品の調達や、大量のデータアーカイブのためのストレージ装置を整備する計画を順調に実施することができた。データストレージの整備によって、特にデータ容量が膨大なフェーズドアレーレーダーのデータアーカイブと解析を、効率よく進める事が可能となった。 また、過去の観測データの解析を開始した。コロナ禍で国際学会への現地参加はまだ難しい状況であったものの、国内外とも少なくともオンラインやハイブリッドで学会が開催される状況に変わりつつある。したがって、得られた成果についての発表も実施でき、情報収集についてはオンラインでの参加によってこれまでよりも容易に実施することができた。 これらのことから、観測機器の故障によりデータの収集がやや想定通りではなかったものの、故障機器の修理の目処はたっており、次年度のゾンデを含めた集中観測の準備は準備ができている。また、データ解析、成果発表もおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2022年度は、夏季に積乱雲の集中観測を実施する。昨年度までのリモートセンシング機器を用いた観測に加えて、昨年度から準備を行ってきたゾンデ観測を実施する計画である。積乱雲の発生期を観測できる雲レーダーの観測範囲は都心部でありその環境場を高い時間分解能で観測するのが望ましいが、夏季の水平風速は弱く都心部でのゾンデ観測は落下位置に危険がおよぶ可能性がある。このため、都心で積乱雲が発生する際の東風の鉛直安定度、水蒸気分布の寄与に注目し、都心よりもやや東に離れた地点における観測を計画している。また、数値予報結果を利用して、ゾンデの落下位置の予測を行い、人口密集地や幹線道路近辺に落下するかによって、ゾンデ観測実施の判断を行う予定である。 雲レーダーは故障が相次いでいるが、夏季までに都心部3台が稼働する予定であり、1~3分間ごとの三次元観測データ取得を目指す。また、雷放電路観測装置LMA(Lightning Mapping Array)センサーを用いた雷放電路観測データは問題なくデータ順調に取得できる見込みである。タイムラプスカメラ観測は、これまで30秒間隔でデータを取得していたが、昨年度の10秒間隔の観測から、変動の早い雲の発達の観測には10秒程度の観測が有効であるように思われた。このため、10秒間隔の観測を実施する計画であるとともに、一地点に複数のカメラを多方面に向けて設置しレーダー等の観測範囲をカバーする計画である。この他、同期間の降水レーダー、フェーズドアレーレーダーのデータのアーカイブを行いデータセットを作成する。 これまでの観測データの解析、および本年の集中観測の初期解析を行うとともに、雲レーダーの最適な同化方法について検討を進める。得られた成果については、国内外の学会で順次発表を行っていく。
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Research Products
(5 results)