2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating structural difference between volcanic and non-volcanic regions in an island arc system based on the Network-MT surveys
Project/Area Number |
21H01175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 真紀 京都大学, 防災研究所, 助教 (30884473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 嘉哉 東京大学, 地震研究所, 助教 (10881758)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 教授 (70242154)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 長周期MT法観測 / 沈み込み帯 / 島弧の火山地域と非火山地域 / 地下の不均質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本やニュージーランドのように、沈み込み帯に位置する島弧では、沈み込むプレートが地球内部に持ち込んだ流体がマントルに付加することで火成活動が誘発され、沈み込むプレートの等深度線に平行な火山列が形成される。一方、島弧には、火山列上に100kmにも亘って火山形成のない領域(非火山地域)が形成されることがある。大局的には同一の地勢状況にある一つの島弧の火山地域と非火山地域の地下の不均質構造を異なる島弧で抽出して比較することは、火山形成メカニズムを考察する上で重要と考えられる。そこで、本研究は、九州と似た地勢状況のニュージーランド北島の火山地域と非火山地域下のマントルの深度に及ぶ不均質構造を長周期MT法観測を行った上で抽出し、九州下の不均質構造と比較することで火山形成メカニズムの議論に寄与する知見を得ることを目的にする。 当該年度(経費で)は、海外協力機関と新たに協議・同意した研究計画に基づいて、前年度までの期間にコロナ感染症拡大防止による影響で大幅変更を余儀なくされたために再検討して決めた新観測システムの構築を推し進めた。先ず、当初計画の観測システムによって取得されるはずであった長周期電磁場データと同等のデータを対象領域において取得するため、観測点の適正配置を図った上で海外協力研究者と共に長周期電磁場測定に係る機動観測点(28地点)を確定させた。そして、2023年7月から2024年1月の期間に設定した4サイクルの機動観測キャンペーンのうちの2サイクルを完了させ、これまで当該地域では成されていなかった高品質な長周期電磁場データの取得に成功した。取得した電磁場データは、時系列データ解析を行い地下の電気比抵抗情報を有するMT応答関数へと変換した後に、地下の空間分布を把握するための位相テンソル解析を適用して対象領域の地下の不均質性を検討するために取りまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、火山地域と非火山地域を有する異なる島弧の地下の不均質構造を電磁気学的な観点から比較することで火山形成メカニズムの議論に寄与する知見を得ることを目指し、ニュージーランド北島において、2021年度から長周期電磁場(MT)観測の一手法であるネットワークMT法観測を行って進めていくことを念頭に計画立案されたものであった。しかしながら、コロナ感染症拡大防止の様々な規制が解除されない状況であった2021年度、および、ニュージーランドの協力機関であったChorus社(メタリックの通信回線網設備を有する電話通信会社)の経営判断からの方針転換によって新規のネットワークMT法による観測網構築が不可能な状況となった2022年度と続いたため、当初計画からは遅れる結果となっている。 一方で、本研究課題は、海外協力研究者および研究分担者と協議し代替手段の検討を行った結果、多点機動MT法観測からなる代替観測手法(低消費電力とコンパクトさを達成しているフラックスゲート磁力計を基にした観測システムを採用)によって、研究目的の達成に必要なクオリティを担保できる長周期データ取得が可能であると判断できた。そこで、非火山地域と火山地域(タウポ火山帯の最南端部)を覆う領域を対象にして、新たに練り直した多点機動観測による長周期MTデータ取得を推し進めると共に、取得した電磁場データの時系列解析さらには地下の空間分布・不均質性を把握するための位相テンソル解析を行うところまでに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、先ず、研究対象領域において長周期電磁場データ取得を完了させるために新たに採用した低消費電力とコンパクトさを達成している観測装置(観測システム)を用いて、練り直した4サイクルの機動観測スケジュール(2023年7月から2024年1月の期間)に沿った残り2サイクルの観測を完了させる。また随時で、取得した電磁場データの時系列解析さらには地下の空間分布・不均質性を把握するための位相テンソル解析を行った後に、地殻からマントルに至る深度の大規模比抵抗構造モデル導出に向けた解析を行う。そして、海外協力研究者および共同研究者と協力して課題の取りまとめを行う方針である。
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Research Products
(2 results)