2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of primitive heart model using iPS cell derived cardiomyocytes and construction of cardiac mathematical model
Project/Area Number |
21H01215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生体力学 / iPS細胞由来心筋細胞 / 細胞シート / バイオプリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心筋における化学エネルギーから機械的エネルギーへのマルチスケールなエネルギー変換機構の工学利用を目指して、その機構に関する基礎的知見を得るための実験モデルとして、iPS細胞由来心筋細胞(以下、iPS心筋細胞)とポリマー系バイオマテリアルを用いて自己収縮する原始心臓型ポンプを開発することである。さらに、拍動挙動と流体循環を記述するための数理モデルとシミュレーションモデルを確立することである。本プロジェクトの2年目である2022年度に得られた主な研究成果は、以下の通りである。 (1)iPS心筋細胞シートを作製し、その拍動挙動を定量的に評価するとともに、画像相関法を用いて最小主ひずみの時間変動の計測に成功した。さらに、ひずみの時間変動と能動的応力の理論モデルを組み合わせることで、拍動に伴う応力-ひずみ挙動を評価し、粘弾性的特性を有することを見出した。 (2)ゴム系材料であるPDMSを用いて円筒形足場構造体を作製し、表面にiPS心筋シートを貼りつけることで、拍動する円筒状構造体の開発に成功した。さらに、構造体内部に微細な粒子を分散させた培地を流入することで、拍動にともなう流動の定量的評価に成功した。 (3)3Dバイオプリンターを用いて、iPS心筋細胞を分散させたポリマーゲルを射出し硬化させることで、ポリマーと心筋細胞のハイブリッド3D構造体の作製に成功した。 (4)中間水を含有し生体適合性に優れるPMEA類似体上で培養したiPS心筋細胞の細胞機能評価を行った結果、結合水分量を調整することで、細胞の凝集挙動や自己拍動を制御できる可能性があることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究成果より、研究はおおむね順調に進展していると言える。その理由は以下の通りである。 (1)iPS心筋細胞シートとゴム系材料であるPDMS円筒構造体のハイブリッド化により、自己拍動する円筒形構造体の開発に成功した。さらに、非線形応力-ひずみ挙動を確認した、円筒内部での流動特性を確認した。 (2)3Dバイオプリンターを用いてiPS心筋細胞を分散させたポリマーゲルを射出することで、ゲル中に細胞が分散する3D構造体の作製に成功した。 (3)細胞親和性に優れる中間水の含有量を調整することで、iPS細胞の凝集挙動と拍動挙動を制御できる可能性を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究の推進方策は以下の通りである。 (1)iPS心筋細胞シートに周波数を変えた電気刺激を与えることで、拍動挙動を変化させ、拍動挙動が制御可能かどうかを確認する。さらに、電気刺激が非線形応力ーひずみ挙動に及ぼす影響についても調査を行い、力学応答に及ぼす電気刺激の影響を明らかにする。 (2)3Dプリンターを用いて心臓の原始形態を模擬した構造を有する足場構造体を作製し、iPS心筋細胞シートとのハイブリッド化を検討する。さらに、ハイブリッド構造体の拍動挙動についても定量的評価を行い、細胞シート単体の場合と比較検討する。 (3)開発したバイオポンプ(心臓原始形態と心筋シートのハイブリッド構造体)を利用して、ミニ循環器モデルの開発を試みる。
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Research Products
(6 results)