2022 Fiscal Year Annual Research Report
三次元ナノ空間構造体による接合界面の応力場制御と異種接合技術への展開
Project/Area Number |
21H01219
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細井 厚志 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60424800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 健雄 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (10409659)
岩瀬 英治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70436559)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異種接合 / CFRTP / 界面ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究で熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)の母材樹脂を溶融させて金属と直接接合する方法が検討されており,シランカップリング処理により化学結合を形成することで接合面のせん断強度が向上することが判明している.また金属表面にナノ構造を付与するとアンカー効果によって接合強度が向上し,破面の延性破壊によって層間破壊靭性も向上することが示されている.一方,CFRTPの中でもPEEKを母材とするCFRTP(CF/PEEK)は高強度で耐熱性にも優れるが,化学的に安定で接合特性に乏しい.そこで本研究では,CF/PEEKとA5052の異種接合材料の層間破壊靭性向上を目的に,陽極酸化処理・エッチング処理またはレーザー加工によってアルミニウム合金表面に微細構造を付与し,その形状による層間破壊靭性への影響を評価した.実験では,A5052の表面に陽極酸化処理とエッチング処理による多層的なナノ構造,またはパルス波レーザー加工機による40μm間隔の溝構造を作製した.これらの構造を付加したA5052試験片にシランカップリング処理を施したのち,ホットプレスを用いてCFRTPと直接接合し,双片持ち梁試験を行った.A5052の表面に溝構造を付加した試験片の層間破壊靭性値は構造のない場合の約2-3倍となり,陽極酸化処理とエッチング処理によるナノ構造を付加した接合試験片においては最も高い層間破壊靭性値1.86 kJ/m2が確認され,構造のない試験片の約5.8倍となった.アルミニウム合金の塑性変形より若干高く層間破壊靭性が見積もられている可能性もあるが,これまで難しいとされてきたCF/PEEKの金属との接合においても高い靭性が得られた.走査型電子顕微鏡による破面観察を行ったところ,構造を付加した試験においては細かく網目状に樹脂の引き延ばされた跡がみられ,局所的に延性破壊が生じたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画通りに進んでおり、興味深い実験結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
破壊時に生じる界面の樹脂の毛羽立ちは、界面強度に依存している可能性がある。界面がどのように化学結合しているかについて量子化学計算を用いてシミュレーションを実施するとともに、結合状態と界面強度の関係を考察する。
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Research Products
(5 results)