2021 Fiscal Year Annual Research Report
同時フィルタリングデュアル光コム非線形分光法によるトレーサブルな超精密角度計測
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21H01222
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松隈 啓 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90728370)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光周波数コム / 角度計測 / デュアルコム分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,デュアルコム分光法を発展させ,角度計測に適用することで,光による角度計測の高度化を図ろうとするものである. 初年度である2021年度は,デュアルコム分光法で必要となる光周波数コムの製作および制御を行った.ファイバーベースのモードロックレーザで,数kHzにわたり繰り返し周波数を制御できる共振器を設計した.設計に基づいてモードロックレーザをくみ上げた.組み立て当初は発振に至らなかったが,寄生発振を防ぐことで発振に成功した. モードロックレーザの製作の次に,光周波数の制御に関する開発を行った.光周波数は繰り返し周波数およびキャリアエンベロープオフセット周波数で決められる.従って,これらの制御のための位相同期ループ(PLL)システムを設計・製作した.回路に適した電子回路部品の選定,レーザの温度管理に適した温度制御素子,ファイバー長さの制御のためのピエゾ素子の選定を行い,システムを構築した.構築したシステムで,繰り返し周波数およびキャリアエンベロープオフセット周波数の制御実験を行った.その結果,繰り返し周波数およびキャリアエンベロープオフセット周波数をmHzレベルで制御することに成功した. 以上から,研究計画段階での2021年度の計画は全て遂行できたと言える.以上に加えて,2022年度の角度計測原理実証実験に向けたシステムの一部について,設計を開始した.2台の光周波数コムの偏光制御について検討し,システムの設計を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画段階での2021年度の計画を全て遂行できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までに,デュアルコム分光に必要な光周波数コムの構築を予定通り行った.今後は,構築したシステムによって,当初計画の角度計測を実現するための研究,およびその高度化を行う予定である. 2022年度は,角度計測原理実証実験に向けたシステムを完成させ,第一段階の原理実証実験を行う.自律校正法を含めたトレーサブルな角度計測については,2023年度に行う予定であるが,そのための基礎となる,デュアルコム分光での角度計測が可能であることを示すことが2022年度の目標である.さらに,当初計画案の同時フィルタリング法の原理実証実験を行うことで,計測の高度化を図ることを計画している. 具体的には,下記の通り研究を進める予定である.(1)デュアルコム分光のための,2台の光周波数コムの相対的な光周波数の精密制御を行う.また,それらの間でのビート信号の検出および安定化を行う.(2)デュアルコム分光のオートコリメーション法への適用により,提案手法による角度計測が可能であることを示す.(3)微小な角度変位を与える試験システムを設計・製作し,上記のデュアルコム分光による角度計測システムを適用する.(4)代表者が提案する,同時フィルタリング法により,上記の角度計測法の高精度化が可能であることを示す.(5)上記の新しい手法について,理論的解析を行い,提案手法の原理的基礎を構築する.また,理論と実験がどの程度整合するかを明らかにする.
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