2021 Fiscal Year Annual Research Report
Rapid Generation and Sliding Characteristics of Aligned Microtextures by Phase-Controlled Ultrasonic Cutting
Project/Area Number |
21H01225
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
磯部 浩已 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (60272861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 裕生 近畿大学, 理工学部, 准教授 (20334691)
原 圭祐 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30515812)
河野 大輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80576504)
櫻田 陽 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90442681)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超音波加工 / テクスチャリング / トライボロジー / バイオミメティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
摺動面のトライボロジー特性改善の手法として表面テクスチャリングが知られている.本研究の目的は,機械加工で生産される高精度で複雑な部品の表面に,高い機能性を有するマイクロテクスチャを,超音波切削加工によって整列配置して創成する技術の開発である.切削工具の振動状態を超音波周波数に比して充分に高速,かつ被削材送り運動に対して高精度に同期させることで,ピッチ数~数十μm,深さ数μmの整列配置されたマイクロテクスチャを工作機械で創成するシステムを構築する.切削による成形仕上げ加工と同時にテクスチャリングできるので,生産性を落とすことなく機能性表面を創成できる点が大きな特長である. 今年度は、超音波励振信号の発振タイミングを主軸回転角と同期するよう補正することで,テクスチャ配列を制御するシステムを提案した.超音波帯域(28kHz)の交番電圧の位相を制御するため,超音波振動の周期(36マイクロ秒)に比して十分に短い制御周期が要求される.ここでは,FPGAを用いて,制御システムを構築した.加工されたテクスチャのピッチは,理論値である切削ピッチPth = 47.8μm,送りピッチFth = 30μmと一致し,本手法によるテクスチャ創成が可能であることを確認できた.ピッチ間隔に対する理想的な整列状態からの位置ずれをテクスチャ配列のずれと定義した.テクスチャの切削方向の位置ずれはテクスチャの重心位置から近似直線を求め,重心位置と近似直線との差の平均(N=25~45)として算出した.補正を行わない場合,テクスチャは様々なパラメータ変動によってランダムな配置となり,配列のずれは16.6%であった.一方,超音波振動の位相補正によって,格子配列は整列配置され,ずれは 3.0%となり,本手法の有効性が確認できた.今後は,テクスチャの整列配置がトライボロジ特性に与える影響を実験的に検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波切削によるテクスチャ創成を実施し、平面方向には理論通りのピッチのテクスチャが得られる一方で、高さは想定していた理論値よりも低くなった。その原因が、工具逃げ面での押しつけであることに気づき、これを考慮した理論構築を行うことができた。 ピッチ間隔に対する理想的な整列状態からの位置ずれをテクスチャ配列のずれと定義した。テクスチャの切削方向の位置ずれはテクスチャの重心位置から近似直線を求め、重心位置と近似直線との差の平均(N=25~45)として算出した。補正を行わない場合、テクスチャは様々なパラメータ変動によってランダムな配置となり、配列のずれは16.6%であった。これに対して、今年度は、限定された範囲であるが、主軸に対して同期制御された超音波発振信号を生成するシステムを構築した。超音波振動の位相補正によって格子配列は整列配置され、配列のずれは 3.0%以下となり、本手法の有効性が確認できた。 以上の結果、本研究課題は予定通り進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗状況に説明したとおり、当初計画の通り研究を進めていく。 【加工現象の究明】法線方向超音波振動による切削加工は、一般的な切削方向超音波振動に比して、工具摩耗やチッピングが生じやすいと言われている。現在、これらのデメリットは発現していないが、今後の実用化に向けては加工現象を明らかにする必要はある。ここでは、光弾性法を用いた被削材内部応力可視化手法を駆使して、加工現象を明らかにする。また、法線方向への振動により、被削材のサブサーフェースには、圧縮応力が付与されると考えられ、局所的な硬度制御の可能性がある。硬さ試験およびX線残留応力測定を行って現象を実験検証するとともに、テクスチャ創成により硬さの制御技術まで昇華させることを目標とする。 【摺動特性および応用先の模索】本手法で創成される理路整然と整列配置されたMMTExによる摺動特性向上について、多くの実験的検証とともに、流体潤滑理論に基づいた理論的検証を、近畿大・田浦裕生(研究分担)とともに実施する。また、MMTexは、焼結含油軸受などの機械加工で仕上げられた任意の摺動面に適用できる。MMTexの綾目模様が工作機械の摺動案内面における「きさげ」と同様に油だまりとしての効果を発現する可能性があり、2012年度以降、工作機械摺動面の接触圧力等に知見を有する京都大・河野(研究分担)と共に応用展開を目指す。
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Research Products
(7 results)